「最近、あのガム見かけなくなったな…」
そんなふうに感じたことはありませんか?
ミントガム、キシリトールガム、板ガム──かつてはコンビニや自販機の定番だった商品が、いつのまにか姿を消しています。
この記事では、「ガム 終 売」をテーマに、なぜ人気ガムが次々と終売になっているのか。その背景と業界の裏事情を、データやメーカーの動きからわかりやすく掘り下げます。
ガム離れが止まらない!市場縮小の現実
まず最初に押さえておきたいのは、ガム市場そのものが急速に縮小しているという事実です。
国内のチューインガム市場は2000年代初頭をピークに減少を続け、現在はピーク時の4割程度まで落ち込んでいます。
理由は単純ではありません。
マスク生活の定着、テレワークやリモートワークの普及、外出機会の減少…。
これらが「ガムを噛む場面」そのものを減らしてしまいました。
さらに、眠気覚ましや口臭ケアといったガムの機能が、ミントタブレットやエナジードリンクなど他の製品で代替されるようになったのも大きな要因です。
つまり「ガムである必要がなくなった」というわけです。
終売の波:定番ガムが次々と消えた理由
明治「キシリッシュ」の販売終了
2023年、明治は自社のガム事業から事実上撤退しました。
かつてヒットした「キシリッシュ」シリーズも販売終了。
その背景には、売上の激減と市場競争の厳しさがあります。
ピーク時と比べると、明治のガム売上はおよそ9割も減少。
グミやキャンディなど他カテゴリーが好調な一方で、ガムは完全な縮小市場となっていました。
明治は経営資源を成長分野に集中させるため、ガム事業を整理したのです。
クラシエ「歯みがきガム」も終売
クラシエフーズも2021年に「歯みがきガム」を販売終了しました。
その理由は、ガムベース(チューインガムの基材)を安定的に確保できなくなったこと。
さらに、需要縮小による採算性の悪化も重なりました。
このように、メーカーの撤退は「売れないから」という単純な理由だけでなく、製造コストや原料調達の問題も絡んでいます。
ガム離れを加速させた生活スタイルの変化
「マスク社会」はガム市場にとって致命的でした。
コロナ禍以降、人前でマスクを外す機会が減り、息リフレッシュ目的のガム需要が急減。
また、オフィスでのガム習慣も減少しました。
一方、代わりに伸びたのが「タブレット」や「グミ」。
ガムのように吐き出す必要がなく、手軽に口にできる。
ゴミも出ないため、マナー面でも好まれやすいのです。
若い世代にとっては、「噛むこと」そのものがリフレッシュ行為ではなくなりつつあります。
ガムが“おじさん文化”と感じられているという声すらあります。
グミ市場の急拡大とガムの失速
ガムの衰退と対照的に、グミ市場はここ数年で急成長しています。
2021年にはガム市場を抜き、今ではグミの方が主流に。
「噛む楽しさ」という点ではグミも同じですが、
・味のバリエーションが豊富
・SNS映えする見た目
・硬さや食感で選ぶ楽しみ
など、ガムよりも「選ぶ楽しさ」が強いのがポイント。
しかも、グミは吐き出す必要がなく、オフィスや公共の場でも気軽に食べられます。
ガムが持っていた“手軽なリフレッシュ”のポジションを、グミが完全に奪ったと言えるでしょう。
売り場からもガムが消えていく現実
コンビニやスーパーの棚を見ても、ガムの売り場はどんどん狭くなっています。
かつてレジ前の一等地に並んでいたガムは、今や隅のほうに追いやられていることも。
売り場面積が減れば当然、売上もさらに落ち込みます。
そしてメーカーは「売れないなら棚を空ける」──この悪循環が続いています。
グミ、ミントタブレット、エナジー系スナックなどが拡大する一方で、
ガムは販促も縮小傾向にあり、消費者の目に触れる機会が激減しています。
製造コスト・原料問題という見えない壁
ガムの終売は、単なる人気低下だけでは語れません。
製造コストや原料調達の課題も深刻です。
ガムのベース素材は海外調達が多く、価格変動や品質基準の変更が影響します。
さらに市場規模が縮小すれば生産ロットが減り、製造コストが相対的に上昇。
結果として「作っても利益が出にくい」構造になっていきます。
また、パッケージデザインや広告のリニューアル費用も重荷。
市場が成長していれば投資できますが、縮小市場ではそうはいきません。
企業にとって「撤退」こそが合理的な判断になるのです。
なぜ定番ガムほど終売になるのか?
「定番=安定」ではなくなった時代です。
むしろ長年販売してきた定番商品ほど、維持コストが重くのしかかります。
・売上が減っても棚を維持するための契約費用が必要
・パッケージや衛生基準の更新コストが高い
・流通量が減ることで在庫ロスが増える
こうした要因が積み重なり、「長寿ブランドだからこそ終売」という現象が起きています。
消費者に愛されていても、利益が出なければ継続は難しい。
“定番ガムの終売”は、メーカーの苦渋の決断でもあるのです。
ガム市場の裏側:メーカーの「選択と集中」
ガム業界でいま起きているのは、企業の生存戦略そのものです。
明治がガム事業から撤退したのは、
グミやチョコといった成長カテゴリーに経営資源を集中するため。
ロッテや江崎グリコといった他社も、販売ラインを整理しつつ、
新しい需要に合わせた製品(機能性グミやタブレット)へシフトしています。
つまり、ガム終売は“終わり”ではなく、
「次の時代への転換点」でもあるのです。
終売後の動き:グミやタブレットが引き継ぐ役割
終売になったガムブランドの中には、形を変えて復活したものもあります。
明治は「キシリッシュグミ」として再登場させ、
“噛む清涼感”をそのままグミに移しました。
こうした動きは今後も増えていくでしょう。
「噛む=健康」や「リフレッシュ」を訴求する製品は、
ガムからグミ、さらにはサプリメント型タブレットへと進化しつつあります。
消費者のライフスタイルに合わせ、
「噛む」行為の形が多様化しているとも言えます。
人気ガムが次々終売する理由をもう一度整理
- 生活スタイルの変化
マスクや在宅勤務でガムを噛む習慣が減った。 - 代替商品の台頭
ミントタブレットやグミが手軽で人気。 - 市場規模の縮小
ピーク時から半減し、成長余地が少ない。 - 製造コスト・原料問題
採算が取れず、継続が困難。 - 企業戦略の転換
成長分野にリソースを移すため、ガムから撤退。
これらが複合的に重なり、
“定番ガムの終売ラッシュ”という現象を生んでいます。
まとめ:ガム終売は時代の変化を映す鏡
「ガム 終 売」というキーワードがここまで話題になるのは、
それだけ私たちの生活にガムが根付いていた証拠です。
昔は友達と分け合ったり、試験前に噛んだり、
車の中でリフレッシュしたり──ガムには確かに“日常の相棒”としての存在感がありました。
しかし、今やその役割はグミやタブレットへと引き継がれています。
消費者の行動が変われば、商品も変わる。
ガムの終売は、まさに「時代の移り変わり」を象徴する出来事なのです。
あなたが最後にガムを噛んだのはいつですか?
もしかすると、それが“ガム時代の終わり”の瞬間だったのかもしれません。

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