アイルランド発祥の黒ビール「マーフィーズ（Murphy’s Irish Stout）」。
ギネスと並んで世界中のビールファンに愛されてきた銘柄ですが、最近「店頭で見かけなくなった」「終売したのでは？」という声がSNSや愛飲者の間で広がっています。
実際のところ、マーフィーズは本当に終売になってしまったのでしょうか？それとも一時的な流通停止に過ぎないのか。この記事では、販売終了の背景や現状の入手ルート、そして代替ビールの候補まで詳しく紹介していきます。
マーフィーズとはどんなビール？
まずは、マーフィーズの基本情報からおさらいしておきましょう。
マーフィーズはアイルランド南部の都市コークで生まれたスタウトビール。起源は19世紀にさかのぼり、地元では「ギネスよりもまろやかで飲みやすい黒ビール」として長年親しまれてきました。
特徴的なのは、ローストモルトによるチョコレートやコーヒーのような香ばしさに加え、窒素ガスを使ったクリーミーな泡。
苦味が穏やかで、ほんのりキャラメルの甘さが感じられる味わいが魅力です。
イギリスやアイルランドではパブの定番として提供され、日本にも過去に缶や瓶で輸入されていました。独特のウィジェット入り缶（開けた瞬間に泡を作る仕組み）は、マーフィーズを象徴するアイテムのひとつでもあります。
日本でマーフィーズを見かけなくなった理由
ここ数年、日本国内でマーフィーズを販売している店舗は急激に減少しました。
輸入ビール専門店や一部のバーで提供されていたものの、2023年以降「在庫限り」「入荷未定」と表示する店が増加。
なぜこうした状況になったのか、主な要因を整理してみましょう。
1. 輸入・流通体制の縮小
マーフィーズはアイルランドのコーク工場で生産されており、製造拠点が限定的です。
そのため世界的な需要に応じた大量生産が難しく、輸出国ごとに供給が不安定になりやすい傾向があります。
特に日本のように消費量が小さい市場では、採算が取りにくいことから輸入量が減った可能性があります。
2. 海外市場でも販売休止が発生
イギリスでは「店頭から姿を消した」という報告が相次ぎ、2025年に再販ニュースが出るまで数年間ほぼ流通が止まっていました。
つまり、海外でもマーフィーズは一時的に製造や流通を止めていた時期があったのです。
この動きが日本への輸入にも影響したと考えられます。
3. 円安や輸送コストの上昇
近年の為替変動や物流コストの上昇も、輸入ビールの価格を押し上げています。
販売価格が高くなれば需要が下がり、結果として取り扱い店舗が減る。
このサイクルによって、マーフィーズが市場から姿を消す流れが強まったと見られます。
4. 国内ビール市場の競争激化
日本ではクラフトビールブームが定着し、国産のスタウト系ビールも続々登場しています。
こうした中で、輸入黒ビールが以前ほど注目されなくなったのも一因です。
限られた棚スペースや販売チャネルの中で、採算が取りにくい輸入銘柄が縮小対象になるのは自然な流れでしょう。
マーフィーズは本当に終売？それとも一時的な休止？
現時点で、「マーフィーズが正式に終売」とする公式発表は確認されていません。
ただし、国内の販売・流通がほぼ停止していることから、実質的な終売状態と言って差し支えない状況です。
イギリスでは2025年にHeineken傘下のもとで再販が予定されており、パブやスーパーでの取り扱いが再開される見込みと報じられました。
そのため、今後日本でも再輸入・再販の可能性はゼロではありません。
とはいえ、現時点では「一時的な販売終了」「休止状態」という表現が最も正確でしょう。
日本でまだマーフィーズを買える場所はある？
マーフィーズを探すなら、まずは以下のようなルートを試してみましょう。
- 輸入ビール専門店
店舗によっては、在庫が残っているケースがあります。
ただし、入荷時期は不定期で、在庫限りの販売が多いです。 - オンラインショップ・通販サイト
Amazonや楽天などで「在庫あり」と表示される場合もありますが、ほとんどが並行輸入品。
価格が高騰していたり、賞味期限が近い場合もあるため、購入時には注意が必要です。 - 海外通販・個人輸入
英国やアイルランドのオンライン酒販サイトでは販売再開の動きもあり、個人輸入すれば入手できる可能性があります。
ただし、送料や輸入規制の問題もあるため、あくまで上級者向けの手段です。 - ビアバー・アイリッシュパブ
一部のパブでは「生樽を限定で入荷」していることもあります。
SNSで最新情報をチェックするか、直接問い合わせてみるとよいでしょう。
これらのルートを試しても見つからない場合は、入手難易度が非常に高いと考えられます。
マーフィーズに似た味わいの代替ビール
「もう手に入らないなら、似た味のスタウトを探したい」という人も多いでしょう。
マーフィーズに近い味わいを楽しめる代替ビールをいくつか紹介します。
ギネス ドラフト
最も定番のアイリッシュスタウト。
マーフィーズより苦味がやや強いですが、同じ窒素ガス仕込みによるクリーミーな泡と芳ばしい香りが特徴。
日本国内でも安定的に流通しており、最も手に入りやすい代替品です。
ビーミッシュ スタウト
マーフィーズと同じくコーク発祥の黒ビール。
ややモルト感が強く、濃厚な風味が魅力です。
輸入量が少なく入手難ですが、味の系統は非常に近いと言われています。
SPRING VALLEY BREWERY Afterdark＜黒＞
ヤッホーブルーイング「アフターダーク」や、ベアードビール「黒船ポーター」など、国内クラフト勢が造る黒ビールもおすすめです。
マーフィーズのような軽めのスタウトから、より香ばしく濃厚なタイプまで幅広く揃っています。
海外クラフトビールのスタウト
米国や英国のクラフトブルワリーによる「オートミールスタウト」「ミルクスタウト」なども、まろやかな甘味や滑らかさがマーフィーズに近いと評されます。
輸入サイトでは限定販売やセット販売が行われている場合もあります。
今後マーフィーズは復活する可能性はある？
マーフィーズを製造するハイネケングループは、ブランド価値の高い銘柄を世界各国で再投入する動きを見せています。
英国市場での再販売決定は、その一例と言えるでしょう。
この流れを考えると、日本市場に再びマーフィーズが輸入される可能性も十分にあります。
ただし、日本のビール市場はギネスをはじめ多くの黒ビールが既にポジションを確立しているため、再参入のハードルは低くありません。
今後は限定輸入やクラフトイベント向けなど、ニッチな形で復活する可能性が高いと見られます。
マーフィーズが終売に？販売終了の理由と入手可能な店舗・代替ビール情報
結論として、マーフィーズは「公式には終売ではないものの、実質的に販売終了状態」にあります。
製造拠点の限定、輸出コストの上昇、流通戦略の見直しなどが重なり、日本では入手がほぼ不可能になっているのが現状です。
しかし、ブランドとしての価値は今も高く、英国での再販ニュースが示すように「完全消滅」ではありません。
もしかすると、近い将来また日本であのクリーミーな泡と滑らかな味わいに再会できる日が来るかもしれません。
それまでは、ギネスや国内クラフトスタウトで代替しながら、マーフィーズの復活を静かに待つのが現実的な選択と言えるでしょう。
かつての味を知るファンにとって、その一杯の思い出は、何よりも代えがたいものです。
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