ウイスキー好きの間で話題となっている「ロングモーン18年終売」のニュース。スペイサイドを代表する名門蒸留所の長熟ボトルがなぜ姿を消すのか、その背景にはどんな理由があるのか。そして、今後どうやって入手すればいいのか。この記事では、ロングモーン18年の終売理由や味わいの魅力、今後の動向を分かりやすく解説していきます。
ロングモーン18年とは？スペイサイドの名門が誇る長熟シングルモルト
ロングモーン蒸留所は、1894年にスコットランド・スペイサイド地方で操業を開始した歴史ある蒸留所です。ペルノ・リカール傘下のシーバス・ブラザーズ社が運営しており、バランタインなどのブレンド原酒としても知られています。
その中でも「ロングモーン18年」は、蒸留所の魅力を最もよく体現した一本。18年以上熟成された原酒のみを使用し、スペイサイドらしいフルーティーでクリーミーな味わいを備えています。香りはトフィーアップルやアプリコット、口に含むとミルクチョコレートやキャラメル、トロピカルフルーツが広がり、余韻にはハチミツのような甘さが残ります。
バランスの取れた熟成感と華やかさから、ウイスキー愛好家の中でも高い評価を得ていました。
ロングモーン18年が終売といわれる背景
2023年末ごろから、国内の酒販店やウイスキー関連サイトで「ロングモーン18年 終売」「在庫限り」といった表記が増え始めました。SNSでも「買っておいた方がいい」「見かけなくなった」という投稿が相次ぎ、実際に店頭在庫が急速に減少。
一見「生産終了」のように見えますが、実際には単なる終売ではなく、ブランド再編を伴うリニューアルの流れが背景にあります。
実際は「旧仕様モデルの終売」＋「新ブランドへの切り替え」
2024年2月、ペルノ・リカール・ジャパンは「ロングモーン18年」と「ロングモーン22年」を新たな独立ブランドとして発売しました。
それまで「シークレット・スペイサイド」コレクションの一部として扱われていたロングモーンが、ついに単独ブランドとして再登場した形です。
新ボトルでは、次のような変更が施されています。
- 新パッケージ：アールデコ調の高級感あるデザイン
- 仕様：カスクストレングス（加水なし）、ノンチルフィルタード（冷却ろ過なし）
- 限定販売：数量限定で、なくなり次第終了
つまり、旧仕様の「ロングモーン18年」が終売になったのは、製造終了というより“新しいロングモーン18年”へのリニューアル移行だったのです。
なぜリニューアルが行われたのか？主な理由3つ
1. 長期熟成原酒の確保が難しい
18年以上熟成した原酒は、蒸発（いわゆる“天使の分け前”）によって量が減るうえ、保管コストも高くなります。需要が増加している中、安定して供給し続けるのは容易ではありません。そのため、ブランド全体の原酒バランスを再構築する必要がありました。
2. プレミアム化・高級路線への転換
近年、各蒸留所は「長熟ウイスキー＝高級志向」という流れを強めています。ロングモーンも例外ではなく、旧モデルよりも価格を引き上げ、デザインや仕様をラグジュアリーに一新。ブランド全体を高級ラインへと押し上げる狙いがありました。
3. 世界的なウイスキーブームによる市場変化
シングルモルト市場は、近年急拡大しています。とくに長熟ボトルは人気が高く、供給が追いつかない状況。ロングモーン18年も、世界的な需要の高まりで在庫が圧迫され、結果的に旧仕様が終売・在庫限りとなりました。
終売前モデルの魅力と希少性
旧ボトルのロングモーン18年は、穏やかな香り立ちと厚みのある口当たりが特徴です。アルコール度数は加水調整されており、飲みやすく、長熟ながら穏やかでバランスの取れた味わいでした。
多くのファンが「華やかだけど優しい」「ロングモーンらしいクリーミーさが最高」と評価。海外サイトのウイスキーベースでは平均スコア86点台と高水準です。
リニューアル後の新モデルはカスクストレングス仕様となり、より力強いスタイルへと変化しました。そのため、旧ボトルのやわらかく上品な味わいを求める愛好家からは、終売を惜しむ声も多く聞かれます。
価格推移と入手難易度
旧仕様のロングモーン18年は、終売前は税込13,000〜15,000円ほどで販売されていました。
しかし、終売の噂が広がるにつれて価格が上昇。2024年以降は、並行輸入品や中古市場で3万円以上に達することもあります。
一方で、新仕様のロングモーン18年はメーカー希望小売価格が37,125円（税込）。高価ではありますが、仕様やプレミアム性を考えると妥当な価格設定とも言えます。
希少性の高い旧ボトルをコレクションとして確保したいなら、早めの入手がおすすめです。
今後の入手方法：在庫・並行輸入・中古市場をチェック
すでに国内の正規販売ルートでは旧ボトルの流通はほとんど終了しています。ただし、以下のような方法で入手できる可能性があります。
- 一部の酒販店で残っている在庫を探す
- 並行輸入品を扱うオンラインショップを定期的に確認する
- ウイスキー専門オークションや中古市場で状態の良いボトルを探す
購入時には、保存状態や真贋確認をしっかり行うことが大切です。特にコレクターズ市場では、液面低下やラベル劣化などが価格に大きく影響します。信頼できる販売元かどうかも必ずチェックしましょう。
新ボトルのロングモーン18年も注目
終売と聞くと「もう飲めない」と思われがちですが、ロングモーンの場合は“再誕”に近い形です。新ボトルはより重厚で力強く、これまでのファンはもちろん、新たなウイスキー愛好家層にも訴求力があります。
特徴的なのは以下のポイントです。
- カスクストレングス仕様（57.6%前後）で、樽由来の風味が強い
- 冷却濾過なしによる濃厚な舌触り
- 熟成年数18年を保ちながら、より芳醇で奥深い味わい
旧ボトルが“優美で繊細なスペイサイド”を体現していたのに対し、新ボトルは“骨太で現代的なロングモーン”として存在感を放っています。
まとめ：ロングモーン18年終売の真相と、これからの楽しみ方
ロングモーン18年の「終売」は、単なる販売終了ではなく、ブランド再構築のためのリニューアル移行でした。
旧ボトルは在庫限りとなり、今後はプレミア的価値が高まる可能性があります。一方で、新仕様のロングモーン18年は、伝統を受け継ぎつつも新しい魅力を備えたラグジュアリーモデルとして登場しました。
もし旧ボトルの味わいを再び楽しみたいなら、今のうちに探してみるのがおすすめです。そして、新しいロングモーン18年を手に取って、どれほど進化したのかを飲み比べてみるのもまた一興。
どちらも、スペイサイドの歴史と情熱が詰まった一本であることに変わりはありません。
ロングモーン18年終売をきっかけに広がるウイスキーの楽しみ方
ロングモーン18年の終売騒動は、単なる供給停止ではなく、ウイスキーの奥深さを再確認する機会でもあります。
終売・限定・リニューアル——それぞれの背景を知ることで、1本のウイスキーに込められた価値や物語がより鮮明に感じられるはず。
スペイサイドの静かな蒸留所が生み出す「時の芸術」。その香りと余韻を、これからもじっくり味わっていきたいですね。
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