「最近、スーパーや自販機から三ツ矢クラフトコーラが消えた」と感じた人、けっこう多いのではないでしょうか。爽やかな柑橘とスパイスが効いた“クラフト系コーラ”として人気を集めたあの一本。SNSでも「見かけなくなった」「もう売ってないの?」という声が続出しています。今回は、そんな三ツ矢クラフトコーラの終売理由、販売終了時期、そして再販の可能性について徹底的に掘り下げていきます。
三ツ矢クラフトコーラとは?柑橘×スパイスのこだわり系コーラ
三ツ矢クラフトコーラは、アサヒ飲料が2021年に発売した“クラフト志向”の炭酸飲料です。
正式名称は「CITRUS & SPICE 三ツ矢クラフトコーラ」。柑橘の爽やかさと、シナモン・クローブ・ナツメグなど8種類のスパイスを組み合わせた、素材感あふれる一品でした。
発売当初は「クラフトビール」「クラフトジン」など、素材や製法にこだわる“クラフトブーム”が盛り上がっていた時期。アサヒ飲料はそこに炭酸飲料としての新しい価値を見出し、「三ツ矢ブランドがつくるコーラ」として打ち出しました。柑橘を軸にしたスパイス感は他のコーラにはない独自の風味で、口コミやSNSでも「クセになる」「上品な香り」と話題に。
2022年には販売が好調で、累計販売本数が計画比1.6倍と報告されるなど、一時期は人気が加速していました。
リニューアルを重ねた“和”のクラフトコーラ
ヒットを受けて、アサヒ飲料は2023年に中身とパッケージをリニューアル。
新バージョンでは“和のスパイス”であるシソや山椒を加え、日本らしい香りと味わいを打ち出しました。スパイス料理研究家が監修を務め、「和と洋のスパイスを融合させた、まさに日本生まれのクラフトコーラ」として注目を集めたのです。
ボトルも三ツ矢らしい透明感のあるデザインで、コンビニ限定の570mlペットや350ml缶など、シーンに応じたサイズ展開も充実していました。
このように、2021年の発売以降、毎年リニューアルを重ねながらブラッシュアップされてきたブランドだったのです。
それでも終売に…三ツ矢クラフトコーラが店頭から消えた理由
そんな人気商品が、なぜ姿を消してしまったのでしょうか。
アサヒ飲料の公式サイトでは明確に「三ツ矢クラフトコーラ終売」とは明言していませんが、通販サイトや流通情報から、販売終了が事実上確定していることがわかります。
たとえば、カインズなどのECサイトでは「販売を終了しました」と明記されています。またSNSでは「350ml缶は2024年2月下旬、500mlペットは3月下旬で終売」といった報告も複数投稿されており、実際にその時期を境にコンビニや自販機から姿を消しました。
では、終売に至った背景には何があったのでしょうか。
終売理由①:コーラ市場でのブランド競争の激化
まず考えられるのは、コーラ市場における競争の厳しさです。
日本国内では、コカ・コーラとペプシが圧倒的なシェアを誇り、新しいコーラブランドが定番化するのは非常に難しい状況にあります。クラフトコーラというカテゴリーは注目を集めやすい反面、飲み続けるファン層が限られ、リピート率の面で苦戦する傾向があります。
一度は話題になっても、定番商品として残るには「味の安定感」「価格」「入手しやすさ」が欠かせません。その点で、スパイス系の個性が強い三ツ矢クラフトコーラは、好みが分かれやすかったのかもしれません。
終売理由②:販売数量と流通コストのバランス
アサヒ飲料の公式FAQでは、販売終了理由について「リニューアルや販売数量の減少、期間限定販売などの理由で販売を終了する場合があります」と案内しています。
つまり、明確な「不振」ではなく、販売数量が一定水準を下回ったり、採算が取れなくなったことが理由の一つと推察されます。
全国展開していたペットボトル飲料は、製造・流通・在庫コントロールに大きなコストがかかります。クラフト系のように需要変動が激しい商品では、安定供給のハードルが高く、結果として「在庫限りで終了」という判断につながった可能性が高いです。
終売理由③:ブランド戦略の転換期にあった
三ツ矢サイダーは2024年にブランド140周年を迎えました。
この節目にアサヒ飲料は「定番ブランドの強化」にシフトしており、サイダー本体や果実炭酸シリーズなど“主軸商品”に注力する方針が強まっています。
クラフトコーラのような派生ブランドは、どうしても優先度が下がりがちです。
また、2023年のリニューアルで「和のスパイス」を取り入れたにもかかわらず、再び1年以内に終売となった点を踏まえると、社内的にも「期待した成果を得られなかった」と判断された可能性が高いと考えられます。
終売理由④:市場トレンドの変化と健康志向の高まり
近年の飲料市場では、「無糖」「機能性」「カロリーオフ」といった健康志向の商品が主流になっています。
クラフトコーラは砂糖やスパイスを多用することで味に深みを出していますが、その分、健康志向層には敬遠されやすい側面があります。
また、甘みと香辛料が強い飲料は“夏限定の気分商品”として消費されがちで、年間を通しての販売継続が難しいジャンルでもあります。
こうした市場環境の変化も、三ツ矢クラフトコーラが終売に向かった一因と見られます。
終売時期の実際:2024年前半に在庫限りで終了か
明確な終売日こそ発表されていませんが、流通情報を総合すると、
- 缶タイプ:2024年2月下旬
- ペットボトル:2024年3月下旬
あたりで順次出荷が終了したと考えられます。以降は在庫限りでの販売となり、夏頃にはほとんどの店舗から姿を消しました。
公式サイトの商品一覧からもすでにクラフトコーラのページは削除されており、現在はサイダーやレモネードなど定番商品のみが掲載されています。
SNSでも話題に「もう一度飲みたい」の声
SNS上では、「あのスパイスの香りが忘れられない」「また復刻してほしい」という投稿が相次いでいます。特にクラフト系飲料ファンの間では、「市販であの味は貴重だった」と再販を望む声が多く見られます。
一方で、「スパイスが強すぎた」「好みが分かれる味」といった意見も一定数あり、賛否両論の存在がブランドの難しさを物語っています。限定的なヒットに留まったことが、定番化できなかった要因の一つともいえそうです。
再販の可能性はある?
現時点で、アサヒ飲料から三ツ矢クラフトコーラの再販に関する正式な発表はありません。
ただし、“完全廃止”という形ではなく、「販売終了」という表現が使われている点に注目したいところです。これは、再び期間限定で復刻される余地が残されている可能性を示しています。
実際、飲料業界では人気限定商品が再登場するケースも多く、アサヒ飲料も過去に「三ツ矢梅サイダー」や「三ツ矢レモネード」を復刻販売した実績があります。
クラフトコーラも同様に、特定のシーズンや周年企画などで“限定復刻”される可能性は十分にあり得ます。
もし再販されるなら、どう変わる?
もし再登場するなら、いくつかの方向性が考えられます。
- 限定復刻モデル
期間限定・数量限定として、懐かしの味を再現。スパイスの種類を見直しつつ、当時のファンを狙う形。 - 健康志向リニューアル
糖質オフや天然由来甘味料を使った“クラフトライト”版としての再登場。 - ブランド融合型
三ツ矢サイダー×クラフトコーラのハイブリッドなど、他シリーズと統合した新商品として展開する形。
どのケースでも、再販があれば話題性は高く、SNSを中心に再び注目が集まるでしょう。
買えるうちに試しておきたかった一本
今となっては入手困難な三ツ矢クラフトコーラ。ネット通販でもプレミア価格で出品されることがあり、ファンの人気の高さを物語っています。
その独特のスパイス香と柑橘の調和は、ありふれたコーラにはない味わいでした。
“クラフト志向の炭酸飲料”という流れを作った先駆けとして、短いながらも印象的な存在だったといえます。
三ツ矢クラフトコーラ終売を振り返って
三ツ矢クラフトコーラは、素材・香り・製法にこだわった挑戦的な商品でした。
一方で、コーラ市場の壁や健康志向の変化という時代の流れには抗えず、2024年前半をもって静かに店頭から姿を消しました。
ただ、そのユニークな味を覚えている人が多いことからも、再販や復刻の可能性は十分に残されています。
「もう一度飲みたい」「また出してほしい」という声が大きくなれば、メーカーが再び動く日も来るかもしれません。
クラフトコーラブームのなかで生まれ、わずか数年で姿を消した一本。
その儚さもまた、“クラフト”という言葉が持つ一期一会の魅力なのかもしれません。

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