近年、じわじわと注目を集めていた中国の薬草酒「五加皮酒(ごかひしゅ)」が、いつの間にか店頭から姿を消しているのをご存じでしょうか。健康志向の高まりとともに再評価されていたお酒だけに、「終売」「販売終了」という言葉を見かけて驚いた人も多いはず。
この記事では、五加皮酒がなぜ終売になったのか、その背景や現在の入手方法、さらに代替となるお酒についても詳しく解説していきます。
五加皮酒とは?中国伝統の薬草リキュール
まずは「五加皮酒ってどんなお酒?」というところからおさらいしておきましょう。
五加皮酒は、中国で古くから飲まれてきた薬酒(ヤオチュウ)の一種です。主成分はウコギ科の植物「五加皮(ごかひ)」で、これをベースに高麗人参、クコの実、桂皮(シナモン)、甘草、陳皮など、十数種類の薬草を漬け込んで作られます。
見た目は琥珀色で、香りはスパイシーかつ複雑。味わいは甘みと薬草の苦味が共存し、どこか懐かしい漢方のような香りが特徴的です。
日本では、永昌源(えいしょうげん)という中国酒ブランドが代表的な製造元として知られ、「永昌源 五加皮酒」という商品名で流通していました。アルコール度数は23%前後とやや強めですが、ロックや炭酸割りでも飲みやすく、健康的なイメージから愛飲者も多かったようです。
五加皮酒が終売になった背景とは?
現在、主要な通販サイトや酒店では「五加皮酒 終売」「メーカー終売予定」「なくなり次第終了」といった表記が目立ちます。
では、なぜ人気のあった五加皮酒が販売終了となってしまったのでしょうか。その背景にはいくつかの要因が重なっていると考えられます。
1. ニッチな市場による販売縮小
五加皮酒は日本国内では非常に珍しいジャンルの酒類です。ウイスキーや焼酎、ワインなどに比べると圧倒的に流通量が少なく、販売店も限られていました。
健康志向や薬酒ブームに一時的に注目が集まったものの、日常的に購入する層はごく一部。こうしたニッチ市場では、生産コストと販売数のバランスが取れなくなることが多く、結果的に「採算が合わない」と判断された可能性があります。
2. 薬草原料の調達コスト上昇
五加皮酒の魅力は、十数種類もの生薬を贅沢に使っている点にあります。ところが、こうした薬草原料は天候や輸入事情に大きく左右されやすく、価格も年々上昇傾向にあります。
特にウコギやクコの実といった主要原料は、健康食品やサプリメントにも需要が高く、食品業界全体で取り合いになっている状況。製造コストが上がれば、価格を据え置くのが難しくなり、販売継続を断念したと考えられます。
3. 表示・広告に関する法規制の影響
もう一つ見逃せないのが、法令面の影響です。
五加皮酒のように薬草を使用した酒類は、「健康効果」や「滋養強壮」などをうたうと景品表示法や薬機法に抵触するおそれがあります。実際、健康訴求の表現に対する規制は年々厳しくなっており、広告やラベルの変更、再許可申請などに手間とコストがかかるようになりました。
こうした法対応の煩雑さが、販売終了の一因になった可能性も否定できません。
4. メーカーのラインナップ整理
永昌源をはじめとする輸入・販売元では、人気商品を中心にブランドの整理を進めている時期でもありました。主力である杏露酒や桂花陳酒に比べると、五加皮酒はややマイナーな位置づけ。販売数量が少ない商品から順に終売となったとみられています。
五加皮酒の味と魅力をあらためて
「薬草酒」と聞くとクセが強そうに感じるかもしれませんが、五加皮酒は意外と飲みやすいお酒です。
香りはシナモンやハーブのような爽やかさがあり、口に含むとやや甘く、あとからほんのり苦味が残ります。ウイスキーや紹興酒のような深みがありながら、どこか薬膳スイーツのような風味も感じられる独特の味わいです。
飲み方はロックが定番ですが、ウーロン茶や炭酸水で割るとスッキリ飲めます。お湯割りにして温めると薬草の香りがより立ち、冬場には体が温まると評判でした。
特に年配層や健康志向の人から「飲むサプリみたい」と好まれていた背景もあります。
現在、五加皮酒はどこで買える?
終売といっても、完全に市場から消えたわけではありません。2025年時点でも、在庫限りで販売している店舗や通販サイトが存在します。
ただし、在庫数はごくわずかで、タイミングによってはすでに完売になっていることも多いため注意が必要です。
現在入手可能とされる主なルート
- Amazon.co.jp: 「永昌源 五加皮酒 500ml」などの商品ページが残っており、「なくなり次第終了」との表記あり。販売元によって価格差が大きい点に注意。
- 酒専門通販サイト(かめや、カクヤスなど): 「メーカー終売予定」「終売(98-0)」などの表示が出ていますが、在庫がある場合も。購入は早めが吉。
- オークション・フリマサイト: ヤフオクやメルカリなどでは、古いボトルや限定ラベルの出品も確認できます。ただし保存状態や真偽の確認は自己責任になります。
終売後の商品は保存年数が長い場合もあるため、風味の変化や沈殿などが見られることも。購入時には販売店の信頼性や保管環境をチェックしておくと安心です。
五加皮酒の代わりになるお酒は?
五加皮酒が手に入らなくなってしまった今、似たような風味を楽しめるお酒を探している人も多いようです。
以下は、代替品・同系統の中国薬酒やリキュールの例です。
- 鹿茸酒: 動物性生薬を用いた滋養系リキュールで、薬草香が強く濃厚。
- 亀齢酒: 桂皮やクコの実などを配合した薬膳系のお酒。香りが似ており、五加皮酒ファンからの人気も高い。
- 枸杞酒: クコの実のフルーティーさと薬草香が特徴で、甘口タイプが多い。
- 養命酒: 日本の薬酒として有名。漢方酒としては異なる系統だが、香りや体にしみるような温かさは共通するものがある。
これらはいずれも薬草由来の成分を使用しているため、香味や風味の方向性が近く、「五加皮酒の代わり」として楽しむ人も少なくありません。
終売後も語り継がれる“五加皮酒”の存在感
五加皮酒が姿を消してからも、SNSやブログでは「もう買えないの?」「懐かしい味」「また復活してほしい」といった声が後を絶ちません。
それだけ、このお酒が人々の記憶に残る特別な存在だったということでしょう。
薬草酒というジャンル自体がマイナーでありながら、飲む人の体験に深く刻まれる――そんな個性が五加皮酒の魅力でした。
もしメーカーや輸入元が再びラインナップに加えることがあれば、健康志向が高まる現代では再びブームになる可能性もあります。
五加皮酒 終売のまとめ
- 五加皮酒はウコギ科植物「五加皮」を主成分とする中国の薬草リキュール。
- 永昌源ブランドを中心に日本で流通していたが、現在は「メーカー終売」「在庫限り」の状態。
- 終売の背景には、ニッチ市場の縮小、原料コストの高騰、法規制対応、ブランド整理など複数の要因が重なっている。
- 現時点でも一部通販や在庫品で購入できる可能性あり。
- 類似の薬草酒(亀齢酒、枸杞酒、養命酒など)で代替可能。
五加皮酒が消えてしまったのは残念ですが、その独特の香りと味わいを覚えている人にとって
は、きっと忘れられない一本でしょう。
終売という言葉は寂しいものですが、在庫があるうちに手に取れる最後のチャンスかもしれません。もし見かけたら、ぜひその芳香と深い味わいをもう一度体験してみてください。

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