「山崎ウイスキーが終売したって本当？」
ウイスキー好きの間で、そんな声を耳にすることが増えました。
スーパーや酒販店の棚から姿を消し、ネットでもプレミア価格が当たり前になっている「山崎」。
今回は、その“終売の噂”の真相、販売終了と言われる背景、そして手に入りにくくなった今でも楽しめる代替品について、じっくり掘り下げていきます。
山崎ウイスキーとは？日本が誇るシングルモルトの象徴
まずは、「山崎」というブランドそのものを簡単におさらいしましょう。
山崎ウイスキーは、1923年にサントリー（当時は寿屋）が設立した日本初のモルトウイスキー蒸留所「山崎蒸留所」で生まれたウイスキーです。
豊かな自然と湿潤な気候に恵まれた大阪府島本町の地で造られ、以降100年にわたり、日本のウイスキー文化を支えてきました。
味わいは、フルーティーで華やか。それでいて日本的な繊細さを感じさせる香り立ち。
ラインナップには「山崎ノンヴィンテージ」「山崎12年」「山崎18年」「山崎25年」などがあり、熟成年数が上がるほどに深みと厚みが増します。
特に「山崎12年」は、国際的なウイスキーコンペティションで数々の賞を受賞。
“ジャパニーズウイスキー”という言葉を世界に広めた立役者でもあります。
山崎ウイスキー「終売」と言われる理由
ここ数年、「山崎が終売した」「もう手に入らない」という声がSNSやメディアで頻繁に見られるようになりました。
しかし、実際にはブランド全体が終売になったわけではありません。
では、なぜ「終売」という言葉がここまで広まってしまったのでしょうか。
原酒不足が深刻化している
ウイスキーは、蒸留後に何年も熟成させてから出荷されます。
つまり、現在出回っているボトルは10年以上前に仕込まれた原酒を使っているということです。
1980〜90年代の「ウイスキー不遇の時代」には国内需要が低迷し、多くの蒸留所で仕込みを減らしていました。
その結果、近年のブームで需要が急増しても、原酒のストックが追いつかないという問題が発生。
これは山崎だけでなく、同じサントリーの「白州」や「響」でも共通する課題です。
ジャパニーズウイスキー人気の爆発
2010年代後半、世界的にジャパニーズウイスキーの評価が一気に高まりました。
国際的な品評会での受賞や、ドラマ『マッサン』の影響などもあり、海外市場でも人気が爆発。
その結果、輸出量が増加し、国内の販売分が圧迫される形に。
特に「山崎12年」「山崎18年」などは、国内外のコレクターからの需要が集中。
現在では、定価で手に入れることがほぼ不可能になっています。
一部銘柄は実際に終売・出荷停止へ
「山崎10年」は、2013年頃に原酒不足を理由に生産終了が発表されました。
また、限定版や特別ラベルなど、過去に発売された多くのボトルも既に市場から姿を消しています。
つまり、“山崎が終売”というよりも、
「特定の熟成年数や限定ボトルが終売」＋「現行品が品薄」
という状況が、誤解を招いているのです。
品薄と高騰が続く「実質的な終売」状態
現状の「山崎12年」は、サントリー公式サイト上では“終売”ではなく“販売中”。
しかし店頭で見かけることはほとんどなく、見つけてもプレミア価格で販売されているのが現実です。
定価約11,000円前後のボトルが、ネットやオークションでは3〜5倍の値がつくことも珍しくありません。
「山崎18年」や「山崎25年」といった長期熟成品に至っては、定価の数十倍で取引されるケースもあります。
さらに、投資目的・転売目的での購入も増えており、一般消費者が正規価格で手に入れることはますます難しくなっています。
このような状況が、「実質的な終売」と言われる所以です。
メーカー側の動きと今後の展望
サントリーはこうした状況を受け、安定供給を目指すために大規模な投資を行っています。
山崎・白州両蒸留所の設備増強や熟成庫の拡張など、総額数百億円規模のプロジェクトが進行中です。
とはいえ、ウイスキーの熟成には時間が必要。
新しい原酒を仕込んでも、それが市場に出るのは10年、20年先になる可能性があります。
したがって、現状の品薄状態はすぐには解消されず、
「山崎を定価で手に入れるのは難しい」という時代が当面続くと考えられます。
山崎ウイスキーを手に入れるための現実的な方法
「それでも山崎を飲みたい！」という人に向けて、いくつかの選択肢を紹介します。
1．抽選販売・公式オンラインショップを狙う
サントリー公式オンラインショップでは、不定期に抽選販売が行われています。
応募しても当選確率は低いですが、定価で正規品を手に入れられる唯一のルートです。
2．百貨店・専門店での入荷情報をチェック
大手百貨店や一部の酒販専門店では、稀に「山崎12年」が入荷することがあります。
常連顧客向けの販売や、年末年始の抽選なども行われるため、情報をマメにチェックするのがおすすめです。
3．ミニボトル・テイスティングセットを活用
「ボトルは高くて買えないけど味を知りたい」という人は、ミニボトルやテイスティングバーを利用するのも手。
少量でも“山崎らしさ”を味わうことができます。
山崎ウイスキーが手に入らないときのおすすめ代替ウイスキー
「山崎に近い風味のウイスキーはないの？」
そんな声も多いですが、いくつか“代替候補”として人気の銘柄があります。
白州（サントリー）
同じサントリーが手がけるシングルモルト。
山崎が華やかでフルーティーなのに対し、白州は爽やかでスモーキー。
同じ系統ながら全く違う魅力があります。
響（サントリー）
ブレンデッドウイスキーとしての完成度が高く、山崎原酒も一部ブレンドされています。
「山崎の面影を感じたい」という人にぴったり。
余市・宮城峡（ニッカウヰスキー）
サントリーとは異なるアプローチで造られた国産モルト。
特に余市は重厚で力強い味わいが特徴。
「日本のウイスキー文化を知りたい」という人にはおすすめです。
海外モルトウイスキー
スコットランドや台湾などの高品質シングルモルトも、山崎の代わりとして注目されています。
特に台湾の「カバラン」やスコットランドの「グレンフィディック」は、コスパと品質のバランスが取れています。
投資・コレクションとしての山崎ウイスキー
近年では、「山崎」を“飲む”よりも“保有する”目的で購入する人も増えています。
限定品や長期熟成品はオークション市場で高値で取引され、資産的価値を持つ存在に。
ただし、転売目的での購入は本来の楽しみを損ねる側面もあり、
「飲んで味わう」ことがウイスキーの本質である点を忘れたくありません。
それでも変わらない、山崎ウイスキーの魅力
山崎はただの“人気商品”ではありません。
日本が世界に誇るクラフトマンシップの象徴であり、100年の歴史を背負うブランドです。
その香り、味、そして背景にある職人の情熱は、他のどんなウイスキーにも代えがたいもの。
今は手に入りにくいかもしれませんが、
その希少性こそが「山崎」というブランドの価値をさらに高めています。
いつか再び手に取る日を楽しみに、今は“待つ”というのも一つの楽しみ方かもしれません。
山崎ウイスキー終売の真相と、これからの楽しみ方
結論として、「山崎ウイスキー」は完全な終売ではありません。
しかし、原酒不足と世界的な人気の高まりによって、
一般的な流通では“実質的に終売状態”になっているのは確かです。
サントリーの新たな投資や増産計画が実を結ぶまでには、まだ時間がかかります。
その間、私たちにできるのは、代替銘柄を楽しみながら「山崎が戻ってくる日」を待つこと。
ウイスキーは時間が育てるお酒。
それは“待つこと”そのものが、ウイスキーを味わう一部なのかもしれません。
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