ウイスキー好きの間で「いつかは手に入れたい一本」として語られてきた竹鶴21年。
その名が「終売」という言葉とともにニュースを駆け抜けたとき、多くの愛飲家が息を呑みました。
なぜこの名作が姿を消すことになったのか。そして、再びその味に出会える日は来るのか――。
この記事では、竹鶴21年の歴史や魅力、終売の背景、再販の可能性までをじっくりと掘り下げていきます。
竹鶴21年とは?ニッカの魂を宿したピュアモルト
竹鶴21年は、ニッカウヰスキーが誇るピュアモルトシリーズの頂点に立つ一本です。
ブランド名の「竹鶴」は、日本ウイスキーの父と呼ばれる創業者・竹鶴政孝の名前に由来しています。
このウイスキーは、余市蒸溜所と宮城峡蒸溜所の原酒をバランスよくブレンドし、21年以上もの長い年月を経て完成した一本。
その味わいは「重厚で奥深く、かつ繊細」。香りにはバニラやキャラメルの甘さ、口に含むとドライフルーツやスパイスの複雑さが広がり、余韻にはオーク樽のほのかな苦味と心地よい長さが残ります。
まさに“熟成の極み”といえる完成度で、世界的にも高い評価を得てきました。
「ワールド・ウイスキー・アワード(WWA)」で“ベスト・ブレンデッド・モルト”を受賞するなど、その名は海外でも知られる存在となっています。
世界が認めた「幻のウイスキー」
竹鶴21年は単なる国産ウイスキーではありません。
世界の名だたるブレンデッド・モルトと肩を並べ、時には頂点に立ったこともある実力派です。
飲むたびに変化する香味の層、そしてバランスの取れた深いコクは、まさに日本の職人技の結晶。
「これぞニッカ」「これぞ竹鶴」と言われる所以でもあります。
さらに、竹鶴ブランドには“ロマン”があります。
竹鶴政孝がスコットランドでウイスキー造りを学び、日本に持ち帰った情熱と哲学。
その魂が今もこの一本に宿っている――そう感じるファンも少なくありません。
なぜ竹鶴21年は終売になったのか
2020年3月末、ニッカウヰスキーは公式に「竹鶴17年」「竹鶴21年」「竹鶴25年」の3商品を出荷終了としました。
この発表は多くのウイスキーファンに衝撃を与えましたが、その背景には避けられない事情がありました。
原酒不足という現実
もっとも大きな理由は、長期熟成原酒の不足です。
21年もの熟成には、当然ながら21年以上前に仕込まれた原酒が必要です。
近年、ジャパニーズウイスキーが世界的に人気を博したことで需要が急増。
その一方で、2000年代の生産量は決して多くなく、結果として熟成年数の高い原酒が枯渇してしまったのです。
需要と供給のバランス崩壊
海外のバイヤーやコレクターが日本の長期熟成ウイスキーを買い占める動きも重なり、竹鶴21年は瞬く間に店頭から姿を消しました。
定価15,000円前後だったボトルが、二次流通市場では8万円前後まで高騰。
「幻のウイスキー」という呼び名が現実味を帯びていったのです。
ブランドの再編と方針転換
ニッカは、長期的なブランド維持のために「年数表記のない竹鶴ピュアモルト(ノンエイジ)」へと切り替えました。
つまり、年数表記モデルを一時的に終売とし、将来のために熟成年数の若い原酒を確保・育成するという戦略です。
これは多くの蒸溜所が取る“時間を味方につける判断”でもありました。
終売後の市場と竹鶴21年の価値
終売発表以降、竹鶴21年は一気にプレミア化しました。
オークションや専門店では、状態の良いボトルが8万~10万円を超える価格で取引されています。
もはや定価での購入はほぼ不可能と言ってよいでしょう。
それでもなお、竹鶴21年の人気は衰えません。
理由は単純です。「代わりがない」から。
同じ21年熟成でも、他ブランドにはない“竹鶴らしさ”――
余市モルトのスモーキーさと宮城峡モルトの華やかさが見事に融合した味わいは唯一無二なのです。
この希少性が、さらに価値を押し上げる要因になっています。
投資目的での購入者も増えていますが、ウイスキーは保存状態で品質が変化するため、飲む・飾る・保管するのいずれにしても慎重さが求められます。
ファンが語る竹鶴21年の魅力
竹鶴21年の魅力は、単に“高級だから”“希少だから”ではありません。
実際に味わった人々の多くが語るのは「香りと余韻の美しさ」です。
・一口目から鼻に抜ける深い甘香ばしさ。
・口中で広がるドライフルーツとスパイスの層。
・そして、ゆっくりと消えていく木樽の香りと心地よい苦味。
飲むたびに新しい発見があり、グラスの中で時の流れを感じる――
それこそが竹鶴21年が愛され続ける理由です。
再販の可能性はあるのか?
終売から数年。ファンの間では「再販はないのか?」という声が絶えません。
現時点でニッカウヰスキーから正式な再販発表は出ていませんが、いくつかの可能性は考えられます。
原酒の回復には時間が必要
21年熟成の原酒を再び提供できるようになるには、少なくとも20年以上のサイクルが必要です。
つまり、再販があるとしても、それは遠い未来の話。
すぐに同じ品質の竹鶴21年が復活することは難しいでしょう。
限定版・特別ボトルの登場可能性
とはいえ、ニッカが全く動かないわけではありません。
過去には「竹鶴ピュアモルト」のリニューアル版を発売し、ブランドの継続を図っています。
今後、原酒の状態が整えば「竹鶴21年・スペシャルエディション」など、限定的な復刻が行われる可能性は十分にあります。
こうした“特別リリース”はファンにとって大きなニュースになるはずです。
再販を待つ間にできること
今は「竹鶴ピュアモルト(ノンエイジ)」が現行の後継モデルとして販売中です。
年数表記こそないものの、竹鶴ブランドの芯となるブレンド技術と香味設計は健在。
“若い竹鶴”として楽しむには十分な完成度です。
これを味わいながら、再び熟成原酒が世に出る日を待つのもウイスキーの楽しみ方のひとつでしょう。
竹鶴21年を手に入れたいなら
もし今、竹鶴21年を探しているなら、いくつかの注意点があります。
・信頼できる販売店や正規流通ルートを利用すること。
・状態(液面の高さ、ラベル、キャップ)を確認すること。
・異常に安い価格には要注意。偽物や劣化品の可能性もあります。
また、購入後の保管にも注意が必要です。
直射日光や温度変化を避け、ボトルを立てた状態で保存しましょう。
ウイスキーは生き物のようにゆっくりと変化します。
その時間を愛でることこそ、竹鶴21年を持つ喜びでもあります。
竹鶴21年が教えてくれたこと
竹鶴21年の終売は、単なる“商品終了”ではありません。
日本のウイスキー文化が世界と並び立つようになった証でもあります。
そして、時を重ねることの価値、手間を惜しまない職人精神の尊さを私たちに思い出させてくれる出来事でもありました。
ウイスキーは「待つ」お酒です。
原酒が眠る樽の中では、21年間もの長い時間が香りと味を育てます。
その時間を思えば、再び竹鶴21年が登場する日を待つことも決して苦ではないはず。
次にその名を聞くとき、私たちはどんな香りに出会えるのでしょうか。
竹鶴21年がついに終売!幻のウイスキーの魅力と再販の可能性を探る【まとめ】
・竹鶴21年はニッカウヰスキーを代表する長期熟成ピュアモルト。
・世界的な賞を受け、国内外で高い評価を受けた名作。
・2020年3月末に終売。理由は原酒不足と需要の急増。
・市場ではプレミア化し、現在は高額取引が続く。
・再販の正式発表はないが、将来的な限定復活の可能性は残る。
幻の一本となった竹鶴21年。
その名が再び店頭に並ぶ日を信じて、今は静かにグラスを傾けよう。

コメント