「最近、飲むヨーグルトをスーパーで見かけなくなった…」と感じた人は多いかもしれません。実際に、ブルガリア のむヨーグルトやビヒダス のむヨーグルトなど大手ブランドの飲むヨーグルトが相次いで終売となり、ネット上でも「どこにも売ってない」「なぜなくなったの？」という声が目立ちます。
では、なぜあの定番だった飲むヨーグルトが姿を消してしまったのでしょうか。この記事では、販売終了の背景やメーカーの意図、そして再販の可能性についてわかりやすく解説します。
大容量タイプが続々と姿を消した背景
かつて、家庭の冷蔵庫に常備されていた900gサイズの飲むヨーグルト。明治の「ブルガリア のむヨーグルト」や森永乳業の「ビヒダス のむヨーグルト」などが代表的でした。
しかし2023年ごろから、これらの“大容量タイプ”が次々と終売になっています。理由のひとつは、生活スタイルの変化です。
家族全員でシェアするような消費スタイルから、一人暮らしや共働き家庭など“個食化”が進んだことで、大容量を買う人が減ってしまいました。メーカー側も「大容量タイプの消費が減少している」とコメントしています。
冷蔵庫のスペースを取るうえに、開封後は早く飲み切らなければならない乳製品。結果として、扱いやすい400g前後や飲みきりサイズの商品に人気が移り、大容量タイプは採算が取れなくなったのです。
市場のトレンドが変わったことも大きい
ここ数年、健康志向の高まりとともに「乳酸菌飲料」や「機能性飲料」の市場が急速に拡大しています。
たとえば、腸内環境を整える、免疫をサポートするなど、明確な効果を打ち出したドリンクが次々と登場しました。
一方で、“飲むヨーグルト”は「なんとなく体に良さそう」止まりのイメージが強く、具体的な効果訴求で劣勢になってしまった面があります。
原料もコストが高く、冷蔵保存が必須のため、流通面での負担も大きいカテゴリー。
それに対し、乳酸菌入り清涼飲料は常温で扱える商品も多く、メーカーにとってはより収益を出しやすい分野です。
つまり、飲むヨーグルトが終売に追い込まれた背景には、単なる人気低下だけでなく「市場の重心がシフトしてしまった」という構造的な要因もあります。
店頭から消えた「静かな撤退」
実際、店頭の棚を見渡すと、明治や森永といった定番メーカーの飲むヨーグルトがごっそり姿を消しています。
販売終了を大々的に発表することは少なく、いつの間にか店頭から消えていたというパターンが多いのも特徴です。
あるスーパーの担当者は、「メーカーの出荷が止まり、自然に在庫がなくなった」と話しています。
賞味期限の短い冷蔵商品は在庫リスクが高く、売れ行きが鈍ると小売側も仕入れを控えるようになります。
こうして、消費者の目に触れなくなり、「気づいたら終売」という静かなフェードアウトが起きたのです。
SNSでも話題に…「どこにも売ってない！」
SNS上では、「あの味が好きだったのに」「朝食の定番だったのに」と惜しむ声が多数。
一部では転売や高値取引まで発生しており、飲むヨーグルトの根強いファンの存在も浮き彫りになっています。
ただし、“終売＝完全撤退”というわけではありません。
同じブランドでも、容量を変えて続いているケースがあります。
たとえば「ブルガリア のむヨーグルト」は900gが終了した一方で、400gや180gの小容量タイプが販売中。
つまり、メーカーは飲むヨーグルトそのものをやめたのではなく、サイズや仕様を時代に合わせて見直したのです。
原材料とコストの問題も無視できない
ヨーグルト製品は、牛乳や生乳価格の高騰の影響を強く受けます。
2022〜2024年にかけて原料乳の価格が上がり、輸送コストや容器の原材料費も上昇しました。
そのうえで冷蔵流通を維持するとなると、採算が取りづらくなるのは明らかです。
メーカーとしては、売り上げが伸び悩むカテゴリーを維持するよりも、より効率の良い商品（小容量・機能性タイプ）に資源を振り向ける方が合理的です。
こうした企業の経営判断も、飲むヨーグルト終売の裏にあります。
終売の裏にある「マーケティングの変化」
もうひとつ見逃せないのが、広告・プロモーションの変化です。
以前はテレビCMや店頭POPで「家族みんなでブルガリア！」といったメッセージが多く打ち出されていました。
しかし最近では、SNSやデジタル広告が主流となり、“家族でシェアする乳製品”よりも“個人が機能を選ぶドリンク”の訴求が目立っています。
つまり、飲むヨーグルトが訴えていた「なんとなく健康」「おいしいから毎日」という価値観が、今の市場にフィットしづらくなったのです。
消費者の購買行動が変わった今、従来の広告スタイルのままではリーチしにくくなり、販売促進の投資対効果が下がったことも撤退の一因と考えられます。
飲むヨーグルトの再販や復活の可能性は？
では、このまま飲むヨーグルトは姿を消してしまうのでしょうか。
実は、再販やリニューアルの可能性はゼロではありません。むしろ形を変えて復活していく兆しがあります。
- 少量・飲み切りタイプへのシフト
すでに明治は「ブルガリア コンパクトシリーズ」として400gや180gのタイプを発売中。
これなら一人暮らしでも無理なく消費できます。 - 機能性の明確化
“整腸作用”や“乳酸菌の種類”など、具体的な機能を打ち出す製品が今後増えるでしょう。 - 飲むシーンの再提案
「朝の一杯」「仕事の合間」「軽い間食」といったタイミングに合わせた提案ができれば、再び需要を呼び戻せる可能性があります。 - EC・通販での展開
冷蔵配送の課題をクリアできれば、オンライン限定の再販や定期便も現実的です。
飲むヨーグルトは、消費者にとって「健康とおいしさの中間点」にある商品です。
だからこそ、時代に合わせて形を変えれば、もう一度注目を集める余地があります。
消費者としてできること
終売のニュースを聞くと残念な気持ちになりますが、類似の商品は多く存在します。
「飲むヨーグルト」というカテゴリーではなく、「乳酸菌飲料」「発酵ドリンク」「機能性ヨーグルトドリンク」なども選択肢に入れると、自分に合った代替品が見つかりやすいでしょう。
また、メーカー公式サイトでは販売終了の告知やリニューアル情報が随時更新されています。
お気に入りのブランドがある場合は、定期的にチェックするのがおすすめです。
時には「期間限定復刻」などサプライズ的な再登場もあります。
飲むヨーグルト終売の理由を振り返って
飲むヨーグルトが終売になった理由は、単純な売れ行き不振だけではありません。
時代の変化、ライフスタイルの変化、そして市場構造の変化が重なった結果です。
- 個食化で大容量タイプが敬遠された
- 乳酸菌飲料や機能性飲料に市場を奪われた
- 原材料や流通コストが上昇した
- 広告投資が減り、ブランドの存在感が薄れた
しかし、これで「飲むヨーグルト」という文化が終わったわけではありません。
少量タイプや高機能タイプへの転換が進むことで、今後はより現代的な形で再登場する可能性があります。
あのなめらかな口当たりや爽やかな酸味を、また新しいスタイルで楽しめる日が来るかもしれません。
飲むヨーグルトが終売になった理由を知ると、単なる「人気の低下」ではなく、時代そのものの変化が見えてきます。
食品や飲料も、人々の暮らし方や価値観とともに進化していくもの。
これからの「飲むヨーグルト」は、きっと以前よりもスマートで、今の生活に寄り添う形で戻ってくるでしょう。
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