最近、「ザ・モルツを探してもどこにも売ってない」と感じた人は多いのではないでしょうか。コンビニやスーパーのビール棚を見ても姿がなく、「終売なの？」「もう買えないの？」と気になっている方も多いはずです。この記事では、サントリー「ザ・モルツ」がなぜ店頭から消えたのか、その販売終了の背景と今後の代替商品について、わかりやすく紹介します。
「ザ・モルツ」とは？登場の経緯と特徴
まずは、「ザ・モルツ」がどんなビールだったのかを簡単に振り返ってみましょう。
「ザ・モルツ」は、サントリーが2015年に発売した麦芽100％ビールです。もともと1986年に登場した「モルツ」の後継商品として登場し、「UMAMI、グッとくるうまみ」というキャッチコピーで注目を集めました。麦芽とホップのうまみを引き出す“UMAMI製法”を採用し、深いコクと香りを楽しめるのが特徴でした。
パッケージは銅色のデザインで、上質感とクラフトビールのような印象を持たせる見た目。味わいは「スッキリ系」のスーパードライなどとは対照的に、“麦の甘みとコク”を大切にしたまろやか系のビールとして人気を集めていました。
ザ・モルツが売ってない？実は販売終了していた
近年、「ザ・モルツ」を見かけなくなったのは偶然ではありません。実は、缶タイプの「ザ・モルツ」は2023年3月製造分をもって終売となっています。サントリーの公式サイトでも明記されており、製造が終了したことで流通在庫を最後に店頭から姿を消した形です。
業務用の瓶や樽生も、2024年3月製造分で終了すると発表されました。つまり、「ザ・モルツ」は家庭用・業務用の両方で段階的に生産を終えており、事実上の販売終了と考えてよいでしょう。
店頭で「売ってない」と感じるのは、製造停止により在庫が尽きつつあるためです。現在は、一部の在庫を抱える酒販店や通販サイトでのみ入手できる状況になっています。
なぜ「ザ・モルツ」は販売終了になったのか？
「長年親しまれたビールなのに、なぜ終売？」と疑問に思う方も多いはず。理由はいくつか考えられます。
1. 販売戦略の見直し
サントリーは2022年以降、「ザ・プレミアム・モルツ」「金麦」「パーフェクトサントリービール」「オールフリー」といった主力ブランドの強化に注力する方針を発表しています。その一方で、「ザ・モルツ」は中価格帯のスタンダードビールとしての立ち位置でしたが、このカテゴリは競争が激しく、優先順位が下がったとみられます。
つまり、ブランドの整理・再編の一環として「ザ・モルツ」がリストラ対象になった可能性が高いのです。
2. 販売実績の伸び悩み
発売当初、「ザ・モルツ」は大々的にCMを展開し、人気俳優を起用して注目を集めました。しかし、スーパードライ、一番搾り、黒ラベルなどの大手競合に対してシェアを伸ばしきれなかったのが現実です。発売から数年で売上が鈍化し、主力商品としての地位を確立できなかったことが販売終了の大きな理由の一つとされています。
3. ビール市場の縮小と嗜好の変化
国内のビール市場は長期的な縮小傾向にあり、消費者の嗜好も多様化しています。特に「糖質オフ」「機能性」「クラフト志向」「プレミアム志向」などが伸びており、従来型のスタンダードビールは厳しい立場にあります。
「ザ・モルツ」は麦芽100％の正統派ビールでしたが、価格帯も中途半端で、消費者から見て「特別感」が伝わりにくかった面もあります。結果として、プレミアム市場や新ジャンル商品にシフトする流れの中で、存在感を失っていったのです。
店頭から消えた後の現状
現在、「ザ・モルツ」はほとんどのスーパー・コンビニでは取り扱いが終了しています。ネット通販でも在庫が減っており、一部ではプレミア価格で販売されているケースも見られます。
酒販店や業務用ルートでは、樽・瓶在庫がわずかに残っていることもありますが、それも時間の問題です。メーカー出荷が終わっているため、今後は「在庫があるうちに確保しておく」しか方法がありません。
SNSでも「好きだったのに残念」「あのまろやかな味が恋しい」といった声が多く見られ、根強いファンが存在することがうかがえます。サントリーの代表的な“うまみ系ビール”として一定の存在感を放っていたことは間違いありません。
「ザ・モルツ」に近い味を探すなら？おすすめ代替商品
「もう手に入らないなら、似た味のビールを知りたい」という人も多いでしょう。ここでは、「ザ・モルツ」の特徴に近い代替商品をいくつか紹介します。
サントリー生ビール（通称：サントリー青）
サントリーが「ザ・モルツ」終了後に力を入れているのが「サントリー生ビール」。こちらは「ザ・モルツ」の技術やノウハウを踏まえて開発されており、麦のうまみを感じながらも軽やかな飲み心地を追求しています。ブランド再構築の中で、実質的に「ザ・モルツ」の後継的ポジションを担っています。
ザ・プレミアム・モルツ
より豊かなコクと香りを求めるなら「ザ・プレミアム・モルツ」もおすすめです。麦芽100％、欧州産アロマホップを使用した芳醇な味わいで、「ザ・モルツ」の方向性を引き継ぐ“進化系”と言えます。価格は少し上がりますが、その分満足度も高い一本です。
他社の代替ビール
サントリー以外では、「一番搾り（キリン）」「黒ラベル（サッポロ）」「スーパードライ（アサヒ）」なども定番の選択肢です。どれも安定した品質と入手しやすさが魅力。特に「一番搾り」は麦のうまみを引き出す設計で、味の方向性として近いと感じる人も多いでしょう。
再販の可能性はあるのか？
現時点で、サントリーから「ザ・モルツ」の再販予定は発表されていません。ただし、同社は過去に「モルツ」「プレモル〈香る〉エール」など、人気銘柄を改良・再登場させた実績があります。そのため、「限定復刻」や「新ブランドとしての再登場」が将来的に行われる可能性はゼロではありません。
もし再販されるとすれば、「麦のうまみを追求したビール」として再び注目を集めることは間違いないでしょう。それだけ、ファンの支持が根強いブランドなのです。
「ザ・モルツが売ってない」今だからこそできること
今、「ザ・モルツが売ってない」と感じた人ができることは2つです。
- 在庫を探して早めに確保すること
ネット通販や酒販店で、在庫が残っているうちに購入しておくのが一番確実です。終売品は時間が経つほど見つかりにくくなります。 - 味わいの近いビールを楽しむこと
「サントリー生ビール」や「ザ・プレミアム・モルツ」など、同系統の味を持つ商品に目を向けてみるのもおすすめです。新しい銘柄を試すことで、思わぬお気に入りに出会えるかもしれません。
まとめ：ザ・モルツが売ってないのは、販売終了が理由だった
「ザ・モルツが売ってない」という声の正体は、缶製品の製造終了と業務用の段階的な終売によるものでした。サントリーの戦略転換、市場環境の変化、そしてブランド再編の中で惜しまれつつ姿を消した「ザ・モルツ」。しかし、そのDNAは「サントリー生ビール」などの新ブランドに引き継がれています。
もし今も「ザ・モルツの味が忘れられない」という方は、在庫を探すか、後継のビールを試してみてください。消えてしまった理由を知ったうえで、次の“うまい一杯”を見つけるのも、ビールファンの楽しみのひとつです。
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