「キューピーの離乳食が販売終了するらしい」と聞いて、驚いた人も多いのではないでしょうか。
スーパーやドラッグストアで長年見かけてきたあの瓶詰やパウチが、ついに姿を消すのです。この記事では、販売終了の正式な発表内容から、その背景、そして今後の代替商品までをわかりやすく整理していきます。長年愛されてきた理由を振り返りつつ、これからどうすればいいのかを一緒に考えていきましょう。
65年の歴史に幕。キューピー離乳食の販売終了とは
キューピーは2025年6月12日に公式サイトで、ベビーフード・幼児食など「育児食事業」から撤退することを発表しました。
1960年の発売開始以来、なんと65年にわたって作られてきたシリーズです。瓶詰タイプやボックス、レトルトパウチ、デザート系まで幅広く展開しており、多くの家庭で親しまれてきました。
終了のスケジュールは次の通りです。
- 生産終了:2026年8月末
- 販売終了:在庫がなくなり次第、順次終了
つまり2025年から約1年間の猶予期間があり、今も店頭ではまだ多くの商品が並んでいます。ただし、徐々に品薄になることが予想され、実際に一部店舗では在庫が減り始めているとの声もあります。
なぜ販売終了?キューピーが決断した背景
「少子化が原因?」と思う方も多いかもしれません。ですが、実際の理由はそれだけではないようです。キューピーは公式発表で次のような背景を挙げています。
販売数量の低迷
ここ数年、販売数量が伸び悩んでいたことが大きな要因です。市場全体でも少子化の影響でベビーフードの需要が減少しつつあり、競合メーカーとのシェア争いも激化していました。
キューピーのシェアは10%前後にとどまり、事業として採算が厳しかったと報じられています。
コストの上昇
原材料費やエネルギーコストの高騰も無視できません。特に瓶詰やレトルト製品は、衛生管理や殺菌工程に高いコストがかかります。品質を保ちながら価格を維持するのが難しくなっていたようです。
設備投資と品質維持の負担
老朽化した設備の更新や生産体制の見直しも必要でしたが、今後の市場規模を考えると新たな投資を回収するのは難しい。
結果として、「品質を落とすことなく継続するのは困難」と判断したのです。
市場環境の変化
ここ数年、ベビーフードのトレンドは瓶詰からパウチや冷凍タイプへと移行しています。
また、共働き世帯の増加で“簡便さ”が重視される一方、家庭での手作り派も増加。こうしたライフスタイルの変化も、キューピーが得意としてきた製品スタイルとは合わなくなっていたといえます。
どのシリーズがなくなるの?対象商品一覧の概要
販売終了の対象となるのは、キューピーが展開してきた育児食のすべてのシリーズ。主な商品カテゴリーは以下のとおりです。
- 瓶詰シリーズ(初期〜後期までの定番ライン)
- にこにこボックス(カップ入り主食+おかずセット)
- ハッピーレシピ(電子レンジ対応のレトルトパウチ)
- ベビーデザート(フルーツやプリン系)
- おやつシリーズ(スナック・ボーロなど)
- やさいとなかよしシリーズ(ごはん用ソースやスプレッド)
これらすべてが、2026年夏までに順次終了予定です。中でも瓶詰シリーズは長年の定番で、初めての離乳食として選ばれてきた家庭も多く、惜しむ声がSNSでも多く見られます。
今後どこまで買える?在庫や購入時の注意点
公式発表によると、2026年8月までは通常どおり生産が続きます。
つまり今後1年ほどは在庫が市場に出回る見込みですが、商品によっては人気の味や段階別ラインが先に売り切れる可能性もあります。
注意しておきたいのは、終了が近づくにつれて価格が上がったり、通販で“プレミア価格”が付くケースも出てくる点です。慌てて大量に買い込むよりも、子どもの成長スピードと賞味期限を見ながら、必要な分だけ計画的に確保するのがおすすめです。
また、保管時には高温多湿を避け、パウチタイプは直射日光の当たらない場所に置くなど、品質を保つ工夫も大切です。
代替として注目されるベビーフードブランド
では、今後キューピーの代わりにどんな離乳食を選べばいいのでしょうか。
主要な代替ブランドをいくつか紹介します。
和光堂(アサヒグループ食品)
「栄養マルシェ」シリーズが有名。月齢別に展開され、主食とおかずがセットになっているため、外出時にも便利です。国産素材を中心に使っており、味付けもやさしいのが特徴。
ピジョン
管理栄養士監修 離乳食シリーズを展開。小分けパウチタイプが多く、少量ずつ使える点が人気。塩分控えめで自然な甘みがあり、離乳初期の子にも使いやすいと評判です。
ビーンスターク
乳業系メーカーならではのノウハウで、素材や栄養バランスに配慮したラインアップを提供。ミルクを使ったメニューも多く、スムーズな離乳食移行に向いています。Amazonでもビーンスターク製品として多数販売されています。
有機・無添加系ブランド
「ホワイトベース」「the kindest」「Little One」など、近年は有機素材や添加物不使用をうたうブランドも増えています。価格はやや高めですが、安全志向の家庭に人気があります。
冷凍・宅配型離乳食
最近では冷凍タイプの宅配サービスも注目されています。必要なときに解凍して使えるため、共働き世帯や調理時間を短縮したい家庭にぴったりです。
手作り派にも広がる選択肢。市販との上手な使い分け
キューピーの撤退は「市販品だけに頼る時代の転換点」と見る声もあります。
確かに市販ベビーフードは便利ですが、手作りの良さも再評価されています。
とはいえ、毎日すべて手作りするのは現実的ではありません。大切なのはバランスです。
- 外出時や忙しい日:市販品をうまく活用
- 余裕がある日:家庭の味を取り入れる
- 子どもの好みを見ながら、少しずつ食材を増やしていく
このように「使い分ける」意識が、今後さらに重要になっていくでしょう。
市販品が減っても、家庭での工夫次第で安心して離乳期を乗り越えられます。
消費者として今できること
今回の発表を受けて、子育て家庭が意識しておきたいのは次の3点です。
- 在庫の確認と買いすぎ防止
まずは現在のストックをチェック。賞味期限とお子さんの月齢を照らし合わせて、無理のない範囲で確保を。 - 代替商品の比較検討
いくつかのブランドを試して、子どもが食べやすいものを見つけておく。味や食感の違いを確認するのも大事です。 - 情報を追う
発表後も新しいブランドやコラボ商品が登場する可能性があります。ニュースリリースや各社サイトを定期的にチェックしておきましょう。
キューピー離乳食販売終了を前向きに捉える
確かに「慣れ親しんだブランドがなくなる」というのは寂しいことです。
しかし、これは同時に「新しい選択肢を探すきっかけ」でもあります。
離乳食を通じて子どもがいろいろな味や食材に出会うことは、食育の第一歩です。
これまでの便利さや安心感をベースにしつつ、新しい時代の育児スタイルを取り入れていきましょう。
キューピーの離乳食販売終了まとめと今後の代替商品選び
改めてまとめると、キューピーの離乳食は2026年8月末で生産を終了し、その後順次販売も終了します。理由は販売低迷やコスト上昇、品質維持の難しさなど、複数の要因が重なったためです。
今後は栄養マルシェや管理栄養士監修 離乳食など他社ブランド、有機・冷凍タイプなど多様な選択肢が登場しています。
市販品と手作りを上手に組み合わせることで、子どもにとって安心でおいしい食環境を整えることができます。
長年にわたり親しまれてきたキューピーの離乳食。
その歴史を思い出しながらも、次のステップへ進むために――。
これからの家庭の食卓には、また新しい工夫と笑顔が広がっていくはずです。
