BOSEのCDプレーヤーが店頭から姿を消した――そんな声を耳にした人も多いのではないでしょうか。かつて“コンパクトなのに本格的な音”を実現した名機として知られたBOSEのCD再生機能付きオーディオ。いったいなぜ販売終了となったのか。そして、今後どんな選択肢があるのかを、音楽ファンの視点から丁寧に見ていきましょう。
BOSEのCDプレーヤーといえば「Wave Music System」シリーズ
BOSEのCDプレーヤーといえば、やはり「Wave Music System」シリーズです。初代モデルは1980年代に登場し、小型ながらも深みのある音を再生する「Waveguideスピーカーテクノロジー」が話題になりました。
その後、1990年代にCDプレーヤーを内蔵したモデルが発売され、家庭用の高音質オーディオとして大ヒット。特に2000年代の「Wave Music System III」や「Wave Music System IV」は、BOSEらしい重厚な低音とシンプルな操作性で多くのファンを魅了しました。
中でも2015年発売の「Wave Music System IV」は、ラジオ・CD再生・AUX入力に対応し、BOSEの音響技術を凝縮した集大成的存在でした。さらにWi-Fi機能やストリーミング対応を強化した「Wave SoundTouch Music System IV」も登場し、「CDも配信も楽しめる一体型」として人気を博しました。
販売終了の事実とタイミング
BOSE公式サイトでは「Wave Music System IV」の販売期間を2015年〜2021年と明記しています。現在、日本国内の公式オンラインストアや正規販売店では、新品の取り扱いは終了しています。
海外サイトでも「We no longer offer a CD-playing device.(CD再生機能付き機器の提供は終了しました)」という表記が確認され、全世界的にCDプレーヤー付きモデルの展開は終了している状態です。
一部家電量販店や通販サイトでは在庫限りの販売が行われていましたが、すでに完売しているケースがほとんど。つまり、BOSEのCDプレーヤーは実質的に“市場から姿を消した”といえるでしょう。
なぜ販売終了になったのか?3つの理由
1. 音楽再生の主流が「ストリーミング」へ移行
最大の理由は、音楽の聴き方が大きく変わったことです。Spotify、Apple Music、Amazon Musicといったストリーミングサービスの普及により、ユーザーはCDを購入・再生するよりも「スマホでいつでも聴く」スタイルにシフトしました。
BOSEもこの変化を見据え、Bluetooth・Wi-Fi対応のスマートスピーカーやサウンドバーへと重点を移していったと考えられます。
2. 部品の供給が困難に
もうひとつの要因は、製造コストと部品供給の問題です。Wave SoundTouch Music System IVで使われていたCDピックアップやオーディオ用ICなどの電子部品は、長年のモデル継続により供給が難しくなっていました。
海外ユーザーの投稿でも「主要部品が入手できず、生産を継続できなくなった」という声が上がっています。小型高音質というBOSE独自構造を維持するには特注パーツが多く、結果的にコスト面で継続が難しくなったのです。
3. BOSEの製品戦略転換
BOSEはここ数年で明確に製品戦略を転換しています。従来の「据え置き型コンポ」から、「ワイヤレススピーカー」「ノイズキャンセリングヘッドホン」「サウンドバー」など、ライフスタイルに寄り添うスマートデバイス中心の展開へ。
公式コメントでも「CD再生機器は提供していないが、スマートスピーカーで同等の音楽体験を実現できる」と明記されており、物理メディア依存から脱却する流れが明確です。
BOSEファンの戸惑いと現状
長年Wave Music System IVシリーズを愛用してきたファンにとって、この販売終了は少なからずショックなニュースです。
「CDで聴く安心感」「手に取って再生する儀式的な楽しさ」は、ストリーミングでは代替できません。特に高音質CDやライブ盤などをコレクションしてきた人にとって、BOSEの音質でCDを再生できる環境が失われるのは寂しいものです。
一方で、中古市場では「状態の良いWave Music System IV」を探す動きが活発になっています。中古ショップやフリマアプリでは依然として人気があり、動作品であれば数万円台後半〜10万円前後で取引されているケースもあります。
ただし、修理・部品交換が難しくなっているため、長期的な使用を考えるならリスクを理解しておく必要があります。
故障・修理の課題と注意点
すでに所有している人は「これからも使い続けたい」と考えるでしょう。
CDプレーヤー部は経年劣化しやすく、ディスクの読み込みエラーやピックアップ不良が起きやすい部分です。BOSEの公式修理サポートは一定期間を過ぎると受付が終了しており、2025年時点ではWave Music System IVも公式修理対象外となっています。
ただし、専門のオーディオ修理業者やBOSE専門リペアショップでは、独自に部品在庫を確保して修理対応を行っている場合もあります。費用は1〜3万円ほどが目安。
また、リモコンや電源ケーブルなどの付属品は互換品が通販で入手できるため、うまくメンテナンスすればまだまだ現役で使うことは可能です。
音楽ファンにおすすめの代替モデル
「BOSEでCDを聴くことが難しくなった」とはいえ、音楽を楽しむ選択肢はたくさんあります。ここでは、代替として注目されている方法を紹介します。
1. Wave SoundTouch Music System IV(中古)
Wi-FiとBluetoothを搭載し、CD・ラジオ・ストリーミングを1台で楽しめるBOSE最後のハイブリッドモデル。中古であればまだ入手可能で、CDを聴きつつネット配信にも対応できる万能タイプです。
2. スマートスピーカー+外付けCDプレーヤー
最近は、USB接続やBluetooth送信対応の外付けCDプレーヤーが登場しています。これをBOSEの「Smart Speaker 500」や「Home Speaker 300」などに接続すれば、擬似的に“CDを再生できるBOSEサウンド環境”を再現可能です。
物理メディアを残しつつ、最新のオーディオ体験を融合させたい人に向いています。
3. 他社の高音質CDコンポを検討
もし「どうしてもCD中心で聴きたい」という場合、デノンやパナソニック、オンキヨーなどのCDコンポも視野に入ります。特に近年のモデルはBluetooth対応が進化しており、BOSEの代替として十分な音質を持つ製品も増えています。
これからの音楽体験とCDの価値
時代は確かにストリーミングへ移り変わりましたが、CDというメディアの価値が失われたわけではありません。
ブックレットを眺めながら音に浸る時間、手でディスクをセットする動作――そうした“アナログ的な儀式”を好む人も多いのです。
BOSEがWave Music System IVシリーズを終えた今こそ、音楽との付き合い方を見直す良い機会かもしれません。
CDで聴く時間を大切にするのか、それともスマートスピーカーで新しい音楽体験を楽しむのか。自分のライフスタイルに合った“音との距離感”を選ぶことが、これからの時代の豊かさにつながっていくはずです。
BOSE CDプレーヤーが販売終了の真相は?音楽ファン必見の代替モデルを紹介のまとめ
- BOSEのCDプレーヤー(Wave Music System IVシリーズ)は2021年前後で販売終了
- 理由はストリーミング時代への移行、部品供給の難しさ、製品戦略の転換
- 現在は中古市場のみで入手可能
- 修理・メンテナンスは非公式業者で対応可
- 代替はスマートスピーカーや外付けCDプレーヤーの組み合わせが現実的
BOSEのCDプレーヤーが販売終了となっても、音楽を楽しむ手段は変わりません。むしろ“自分らしい聴き方”を見つけるきっかけになるはずです。
これまでの名機に敬意を払いながら、新しい音の世界へと歩み出していきましょう。
