「最近、スマホの文字がぼやけて見える」「夕方になると極端に目が疲れる」と感じることはありませんか?それは、多くの方が40代前後から経験する「手元のピント調節力の変化」かもしれません。
そんな時の強い味方が遠近両用コンタクトレンズです。しかし、いざ使ってみようと思っても「度数の選び方が難しそう」「見え方が不自然にならないか不安」という声をよく耳にします。
実は、遠近両用コンタクトには特有の「選び方のコツ」があります。普通のコンタクトレンズと同じ感覚で選んでしまうと、期待したような視界が得られないこともあるのです。
この記事では、遠近両用コンタクトの仕組みから、失敗しない度数選びのポイント、そして快適に使い続けるためのヒントを詳しく解説していきます。
遠近両用コンタクトレンズの不思議な仕組み
そもそも、1枚のレンズで「遠く」と「近く」の両方が見えるのはなぜでしょうか?メガネの場合はレンズの下側に境目があるタイプが一般的ですが、コンタクトレンズは目の中で回転するため、少し異なる仕組みが採用されています。
現在、主流となっているソフトレンズの多くは「同時視タイプ」と呼ばれています。これは、レンズの中に遠くを見るための度数と、近くを見るための度数が同心円状に配置されているものです。
目に入ってきた「遠くの景色」と「近くの文字」の情報を、脳がその瞬間に必要な方を選び取ってピントを合わせるという、人間の脳の適応力を利用した驚きの仕組みなのです。
この仕組みを理解しておくと、初めて装着した時の「少しフワフワする感じ」が、脳が慣れようとしているサインだと前向きに捉えられるようになります。
度数選びで重要な数値「加入度数(ADD)」とは?
遠近両用コンタクトを選ぶ際に、必ず目にするのが「ADD」という表記です。これは「加入度数(Addition)」の略で、遠くを見るための度数に、近くを見るためにどれだけの度数を「付け加えるか」を示しています。
一般的なコンタクトレンズにある「PWR(度数)」に加えて、このADDの数値があなたの手元の見え方を左右します。
- 数値が小さい(例:+0.75や+1.25):初期の老眼症状に適しており、遠くの見え方への影響が少なく、違和感が抑えられます。
- 数値が大きい(例:+2.00や+2.50):手元のサポート力が強くなります。一方で、遠くの景色が少し暗く感じたり、コントラストが下がったりすることがあります。
度数選びの基本は、今の自分の目の状態に合った「必要最低限のADD」から始めることです。欲張って最初から強い数値を選んでしまうと、視界の揺れや歪みを感じやすくなるため注意が必要です。
年齢別に見た加入度数の目安と選び方の基準
度数選びの目安として、年齢による変化を知っておくことは大切です。もちろん個人差はありますが、一般的な基準は以下のようになります。
40代前半から半ばの方は、まだ「近くが見えにくい」と感じ始めたばかりの時期でしょう。この段階では、+0.75Dから+1.25D程度のLowタイプ(加入度数が低いもの)が選ばれることが多いです。この度数なら、遠くの視界をクリアに保ったまま、スマホの操作がぐっと楽になります。
40代後半から50代前半になると、ピント調節力がさらに変化します。この時期は+1.50Dから+2.00D程度のMidタイプが目安となります。仕事でパソコン作業が多い方は、このあたりの度数から手元の快適さを実感しやすくなります。
50代後半以降は、+2.25D以上のHighタイプが必要になる場面が増えてきます。この段階では、遠くのシャープさよりも、手元の文字の読みやすさを優先するバランス調整が重要になってきます。
ただし、これらはあくまで目安です。大切なのは「自分が一番何を見たいか」という生活スタイルに合わせることです。
ライフスタイルに合わせた優先順位の決め方
遠近両用コンタクトの度数選びで最も大切なのは、あなたの「1日の過ごし方」です。全ての距離を100点満点で見えるようにするのは物理的に難しいため、どこを「80点」にするかという引き算の考え方が成功の秘訣です。
例えば、車の運転を頻繁にする方や、屋外でのスポーツが趣味の方は「遠くの視界」を優先すべきです。この場合、ADD(加入度数)をあえて控えめに設定し、遠くの景色がにじまないように調整します。
一方で、デスクワークが中心で、1日の大半をパソコンや書類、スマホを見て過ごす方の場合は「近くの視界」を優先します。遠くの視界が多少ソフト(0.7〜0.8程度)になっても、手元が楽に見える方が肩こりや目の疲れを軽減できるからです。
眼科での検査の際には、kindleで読書をすることが多いのか、あるいは大型モニターでの作業が多いのかなど、具体的な生活シーンを伝えるようにしましょう。
利き目(優位眼)を考慮した高度な調整術
実は、私たちの目には手足と同じように「利き目(優位眼)」が存在します。度数選びのプロである眼科医や視能訓練士は、この利き目を利用して絶妙なバランス調整を行っています。
一般的には、遠くを見る役割を「利き目」に担わせ、手元を見るサポートを「非利き目」に少し強めに割り振ることがあります。これを「モノビジョン法」のエッセンスを取り入れた調整と呼びます。
両目とも同じ度数にするのが基本だと思われがちですが、左右でADDの強さを変えたり、遠用の度数を微調整したりすることで、両目で見た時に「遠くも近くも自然に見える」という魔法のような視界が完成します。
もし、左右同じ度数で違和感がある場合は、この「左右差をつけた調整」を相談してみる価値があります。
脳が慣れるまでの「ハロー・グレア」と向き合う
遠近両用コンタクトを使い始めたばかりの頃、夜の街灯や車のヘッドライトの周りに光の輪が見えたり(ハロー)、光がギラギラと散って見えたり(グレア)することがあります。
これは同時視タイプのレンズ特有の現象です。暗い場所では瞳孔が開くため、レンズの中の「近く用」と「遠く用」の両方の光が同時に目に入りやすくなることが原因です。
しかし、多くの場合は数週間使い続けることで、脳が余計な光の情報をカットすることを覚え、気にならなくなっていきます。度数選びに失敗したと早合点してすぐに使用を中止せず、少し時間をかけて「脳のトレーニング」をするつもりで向き合うのがコツです。
乱視がある場合の遠近両用コンタクト選び
「自分は乱視があるから、遠近両用は諦めている」という方もいらっしゃいますが、最近の技術進歩は目覚ましいものがあります。
以前は乱視用の遠近両用レンズは選択肢が少なかったのですが、今ではcontact lens toricsのように、乱視をしっかり矯正しながら手元のピントも合わせられる製品が増えています。
乱視がある方は、無理に普通の遠近両用レンズで合わせようとせず、乱視矯正機能が備わったタイプを選ぶことが、クリアな視界への近道です。乱視による「にじみ」が消えるだけで、手元の文字の読みやすさは劇的に向上します。
レンズのデザインによる見え方の違い
遠近両用コンタクトには、メーカーごとに異なる「デザイン」が存在します。大きく分けると、レンズの中心に近く用の度数があるタイプ(中心近用)と、中心に遠く用があるタイプ(中心遠用)です。
現代人の多くはスマホやパソコンを多用するため、「中心近用」のデザインが採用されているレンズが目立ちます。視線を落とした時に自然と手元にピントが合いやすい設計です。
もし、あるメーカーのレンズで「どうしても遠くがぼやける」と感じたなら、それは度数が合っていないのではなく、レンズのデザインがあなたの瞳孔の動きとマッチしていないだけかもしれません。別のメーカーのレンズを試してみると、驚くほどスッキリ見えることがあります。
遠近両用コンタクトを快適に保つためのケア
度数選びと同じくらい大切なのが、レンズのコンディションを保つことです。特に40代以降は、涙の量が減り「ドライアイ」になりやすい傾向があります。
レンズが乾いてしまうと、せっかく精密に選んだ度数も正しく機能しません。表面が乾いて曇ったレンズでは、光が乱反射して視界が悪くなってしまいます。
装着液を使用したり、eye dropsでこまめに保湿をしたりすることは、見え方の質を維持するために非常に有効です。また、シリコーンハイドロゲルという酸素をよく通す素材のレンズを選ぶことも、目の健康と快適な視界を両立させるためのポイントです。
専門家と一緒に「納得のいく1枚」を見つける
ここまで度数選びのポイントを解説してきましたが、最終的な決定には必ず専門家による検査と処方が必要です。
コンタクトレンズは高度管理医療機器です。自己判断でネット通販などで度数を選んでしまうと、目に過度な負担をかけたり、頭痛や肩こりの原因になったりすることもあります。
眼科でのフィッティングでは、実際にレンズをつけた状態でsmartphoneを操作してみたり、遠くの視力表を確認したりする「装用テスト」が行われます。この時に、感じた違和感は遠慮せずに全て伝えるようにしましょう。「もう少し手元を楽にしたい」「夜の運転を重視したい」といった具体的な要望が、最高の処方箋を生み出します。
遠近両用コンタクトの度数選びで失敗しないコツ!仕組みや加入度数の目安を徹底解説:まとめ
遠近両用コンタクトレンズは、正しく選べばあなたの生活の質を劇的に向上させてくれる素晴らしいツールです。老眼鏡をかけ外しする煩わしさから解放され、見た目も気持ちも若々しく保つことができます。
最後に、度数選びで失敗しないためのポイントをおさらいしましょう。
- 自分の「一番見たい距離」という優先順位を明確にする。
- 加入度数(ADD)は、低い数値から段階的に試していく。
- 利き目を利用した左右の微調整を視野に入れる。
- レンズのデザイン(メーカー)による違いを理解し、諦めずに試す。
- 脳が新しい見え方に慣れるまで、2週間程度は様子を見る。
「遠近両用は合わない」という先入観を捨てて、今の自分にぴったりの度数を見つけてみてください。クリアな視界が戻ってくることで、日常の何気ない景色や読書、仕事の時間がもっと楽しく、快適なものに変わるはずです。
遠近両用コンタクトの度数選びで失敗しないコツ!仕組みや加入度数の目安を徹底解説を参考に、あなたにとって最適な視界を手に入れてくださいね。

