「モートラック12年って、もう買えないの？」
そんな声が最近、ウイスキーファンの間でよく聞かれるようになりました。
かつて「ダフタウンの野獣」と呼ばれたモートラック。その中でも12年熟成ボトルは、多くの愛飲者にとって定番の1本でした。ところが、近年このボトルが店頭から姿を消し、「終売したのでは？」と話題になっています。今回は、その真相と、いまも入手できるルートについて徹底的に掘り下げていきます。
モートラック12年とは？蒸留所と味わいの特徴
まず、モートラック12年がどんなウイスキーなのかをおさらいしておきましょう。
モートラック蒸留所は、スコットランド・スペイサイド地方のダフタウンにある歴史ある蒸留所。創業は1823年で、グレンフィディックやバルヴェニーと同じ地域に位置しています。
最大の特徴は、世界でも珍しい「2.81回蒸留」という独自の製法。通常のスコッチが2回蒸留であるのに対し、モートラックは複雑な蒸留工程を経て、より濃厚で肉厚なフレーバーを生み出しています。そのため「ミーティ（肉のような）」と評される独特のコクと深みがあり、他のスペイサイドモルトとは一線を画す存在です。
モートラック12年は、アルコール度数43.4％。香りはベリージャムやトースト、白桃紅茶、スパイスといった甘く華やかな香りの中に、奥行きのある厚みが感じられます。味わいは濃厚でリッチ、シェリー樽由来の甘みとスパイシーさが絶妙に調和しており、飲み応えが抜群。ストレートでもロックでも楽しめる万能な1本として人気を集めていました。
モートラック12年が終売？噂の発端と現状
「終売になった」という噂が広まったのはここ数年のこと。
実際、公式サイトや輸入代理店から「終売」と明言された情報は確認されていません。とはいえ、日本国内では正規ルートでの販売がほぼ見られなくなり、実質的に“終売状態”といえる状況にあります。
酒販店の多くが「在庫限り」「入荷未定」としており、大手ECサイトでも並行輸入品や中古ボトルが中心。価格も以前の1万円前後から上昇傾向にあり、希少性が高まっています。
一部のウイスキー専門ブログでは、「国内では終売扱いとなり、正規流通が終了している」とも指摘されています。
つまり、公式には終売発表はないものの、国内の正規輸入ルートが停止しているため、結果的に市場から姿を消したというのが実情です。
消えた理由①：原酒の枯渇と生産コストの上昇
モートラック12年が姿を消した最大の理由は、原酒の不足です。
ウイスキーは最低12年以上の熟成を経て出荷されるため、需要が急増すると供給が追いつかなくなります。特にモートラックのように特殊な蒸留を行う蒸留所では、原酒を確保するための生産量に限界があります。
2010年代以降、世界的なウイスキーブームが続き、12年クラスの熟成年数ボトルは軒並み供給難に。スコッチ各社が10年表記やノンエイジボトルに切り替える流れの中で、モートラックも同様に12年ものを安定供給することが難しくなったと考えられます。
また、長期熟成の在庫を抱えることはコストも高く、メーカーにとってはリスク要因。結果として、より高級なライン（モートラック18年やモートラック20年）へ注力し、12年を縮小した可能性が高いと言えるでしょう。
消えた理由②：ブランド戦略とプレミアム路線への移行
もう一つの理由は、ブランドポジションの変化です。
モートラックはディアジオ社の高級ラインとして位置付けられており、数年前から「Rare Old」「18年」「25年」などの上位モデルを中心に展開してきました。
この流れの中で、エントリーモデルであるモートラック12年をあえて縮小し、ブランド価値を高める戦略を取ったと見られます。
実際、近年のモートラックはボトルデザインも高級感のある厚底仕様にリニューアルされ、ギフト需要やコレクター層を意識したプレミアムブランドへとシフトしています。
つまり「終売」ではなく、「ブランド再構築のための整理」という位置づけが近いのかもしれません。
消えた理由③：流通の変化と国内在庫の減少
日本国内の酒類流通にも影響があります。
ウイスキーの輸入は代理店や商社を通じて行われますが、在庫や契約条件の見直しにより、国内での正規供給が終了するケースが増えています。
モートラック12年もこのパターンに当てはまる可能性が高く、国内代理店での取扱終了により「正規ルートではもう手に入らない」という状態になっています。
現在市場に出回っているボトルの多くは、並行輸入品や旧在庫。
特にラベルデザインが旧仕様のものはすでに生産終了しているため、コレクション価値も上がりつつあります。こうした在庫は酒販店やネットショップで見つかることがありますが、数量は非常に少なく、価格も上昇しています。
モートラック12年を今でも買える入手ルート
「もう買えない」と言われるモートラック12年ですが、まだ入手のチャンスはあります。
以下のようなルートを探すのがおすすめです。
1. ネット通販（楽天・Yahoo・Amazonなど）
大手通販サイトでは、並行輸入品を中心に在庫が見つかる場合があります。
ただし、出品数は限られており、「在庫限り」「高額出品」が多い点に注意。
Amazonではギフトボックス付き仕様（700ml・43.4％）などが販売されていることがありますが、価格変動が激しいため、見つけたら早めの判断が重要です。
2. ウイスキー専門店・正規取扱店
専門店では、正規品の旧在庫を抱えていることがあります。
特に東京・大阪など都市部の老舗バーや専門酒販店では、限定在庫として店頭販売している場合があります。店舗によっては通販対応もあるため、直接問い合わせてみるのも一つの手です。
3. 並行輸入・海外通販
海外ではまだモートラック12年が流通している地域もあります。
個人輸入サイトや海外EC（例：The Whisky Exchangeなど）では入手可能なケースもありますが、送料や関税、真贋リスクには十分注意が必要です。
4. オークション・古酒ショップ
終売ウイスキーの入手ルートとして定番なのが、ヤフオクや古酒専門店。
ただし、状態や保管環境によって品質が変わるため、未開封・液面の状態・ラベルの劣化などを確認してから購入するのが安心です。
購入時の注意点と偽物対策
人気ウイスキーがプレミア化すると、残念ながら偽物や詰め替え品が出回ることもあります。
モートラック12年を購入する際は、以下のポイントを必ずチェックしましょう。
- 正規輸入品か並行輸入品かを確認（税ラベルの有無など）
- 液面の高さやキャップの状態
- ラベル印刷の品質（偽物は印刷が粗い場合あり）
- 評価の高い販売店・ショップを利用する
特にオークションでは、ボトル写真を複数掲載している出品者を選ぶことが重要です。高額ボトルほど、信頼できる店舗から購入するよう心掛けましょう。
今後のモートラックの展開と代替ウイスキー
12年が入手困難になった一方で、モートラックは他のラインナップを強化しています。
特にモートラック18年やモートラック20年などは、同ブランドの個性をより濃厚に楽しめる上位モデル。価格は高めですが、味わいの完成度は非常に高く、12年のファンにも満足できる内容です。
また、似たタイプのミーティなモルトを探すなら、グレンファークラス12年やアベラワー12年、グレンドロナック12年なども選択肢になります。どれもシェリー樽系の甘みと厚みを感じられるウイスキーで、代替として十分魅力的です。
モートラック12年の終売を惜しむ声とファンの期待
SNSやウイスキーフォーラムでは、「モートラック12年が消えて悲しい」「もう一度飲みたい」という声が今も多く見られます。
特に、初めてシングルモルトの奥深さを感じさせてくれた1本として、思い入れを持つ人が多いのが特徴です。
一方で、メーカーが完全に撤退を発表しているわけではないため、「再販されるのでは」という期待も根強く残っています。今後、原酒の回復やブランド戦略の転換によって、新仕様の12年が復活する可能性もゼロではありません。
モートラック12年 終売の真相とこれから
現時点でモートラック12年は、公式発表こそないものの、国内正規ルートではほぼ終売状態です。
原因は原酒不足、ブランド戦略、流通変化といった複合的な要因が絡み合っており、再販があるとしても時間がかかると見られます。
しかし、並行輸入や中古市場ではまだ手に入るチャンスも残っています。
見つけたときが、実は最後のチャンスかもしれません。
もし憧れのモートラック12年をもう一度味わいたいなら、今のうちに入手しておくのがおすすめです。
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