近年、SNSでも「マルサンアイの味噌が店頭から消えた」「いつも買っていた味噌が売っていない」といった声が増えています。
家庭の定番ブランドとして長く親しまれてきたマルサンアイの味噌が、なぜ終売となったのか。そして、これからどの味噌を選べばいいのか――。
この記事では、終売の背景やメーカーの動き、代替商品のおすすめまでを詳しく解説します。
マルサンアイの味噌が終売に！何が起きているの？
マルサンアイ株式会社は、愛知県岡崎市に本社を置く老舗メーカー。豆乳や味噌など、大豆を中心とした食品で知られています。
そんな同社が2025年3月をもって「本社みそ工場」を閉鎖し、味噌の生産を終了するという発表を行いました。
これに伴い、これまで販売されてきた多くの味噌商品が「終売」となります。
具体的には、「純正こうじ」「減塩純正こうじ」「家康500g」「本場赤だし500g」「鰹と昆布だし入り赤だし500g」「味の饗宴15割麹生」「国産素材熟成こうじ」など、スーパーでよく見かけた定番ラインが相次いで製造終了となります。
中でも「減塩純正こうじみそ750g」は公式サイト上でも2025年3月製造終了と明記されており、多くの家庭で「いつも使っていた味噌が買えない」という状況が起きています。
終売の背景には何があるのか？
味噌市場の縮小と時代の変化
日本人の味噌消費量は年々減少しています。
朝食の洋食化や即席スープなどの普及により、「味噌汁を毎日作る家庭」が減少。さらに、単身世帯の増加や外食・中食の浸透も影響しています。
こうした背景から、味噌市場全体が縮小傾向にあり、メーカーの生産体制を見直す動きが広がっています。
マルサンアイの2023年度決算を見ると、みそ事業は売上約43億円で前年比6％減。
一方、豆乳や調製豆乳などの「豆乳事業」は約244億円で増加しており、同社の主軸が明確に豆乳へと移行しているのが分かります。
つまり、味噌の需要が減る中で、より伸びている事業に注力するという合理的な判断が背景にあります。
原材料とエネルギーコストの高騰
もう一つの大きな要因が「原材料とエネルギーコストの上昇」です。
味噌は大豆・米・塩といった素材を長期間発酵・熟成させて作る食品。そのため、製造には多くのエネルギーを要します。
近年は、原料の大豆価格が国際的に高騰し、資材や燃料費、物流費も上昇。結果として、従来の価格では採算が合いづらくなっていました。
マルサンアイは、「大量生産型の古い設備では市場競争力の維持が難しい」とし、本社工場での生産終了を決断。
これは、単なるコスト削減ではなく、企業として持続可能な生産構造への転換を意味します。
工場の老朽化と設備再編
マルサンアイの本社みそ工場は、建設から50年以上が経過。
老朽化により、品質維持や安全性確保、災害対策などの面で課題が増えていました。
そのため、新しい設備投資をするよりも、一部商品の生産を外部委託や子会社へ移管し、事業全体をスリム化する方向に舵を切ったのです。
実際に「玉井味噌」などへの製造移管が進められており、今後は主力ブランドを絞り込みつつ、高付加価値路線へと再構築される見通しです。
終売＝撤退ではない！マルサンアイの再構築戦略
「終売」と聞くと、メーカーが味噌事業から撤退するようにも思えますが、マルサンアイの場合は少し違います。
同社は事業そのものをやめるのではなく、「主力商品のリニューアル」と「ブランドの再構築」を進めています。
国産素材へのこだわりとプレミアム化
マルサンアイは、これまでの量産型みそから一転し、国産原料・高品質・小容量といった新たな方向性を打ち出しています。
たとえば、2024年9月には「国産純正こうじみそ 蔵出し生 500g」を発売。
従来の「純正こうじみそ」をベースに、国産大豆・国産米・天日塩を使用したプレミアムタイプで、容器も使いやすいカップ仕様にリニューアルされています。
さらに、2025年3月には「国産 味の饗宴 15割麹生 500g」を発売予定。
こちらは麹歩合を高め、より甘口で風味豊かな味わいを目指したモデル。伝統製法に現代のライフスタイルを掛け合わせた新しい方向性の味噌です。
このように、終売＝終了ではなく「次の世代に合った形への再構築」が進んでいるのです。
消費者の反応と市場への影響
愛知県での生産量が激減
マルサンアイの本社工場閉鎖は、地域経済にも影響を与えています。
愛知県の味噌出荷量は2024年に前年比約50％減少。
同社の生産縮小が地元産業にも波及し、県の味噌生産ランキングも一気に下がりました。
まさに、全国的にも大きな構造転換が進んでいる象徴的な出来事といえます。
SNSでは「もう買えないの？」の声が続出
SNSや掲示板では、「減塩純正こうじがどこにも売っていない」「赤だしが終売って本当？」といった投稿が多く見られます。
特に「家康500g」などは、地元愛知では“地元の味”として愛用してきた人も多く、惜しむ声が目立ちます。
一方で、「リニューアル版が思ったよりおいしい」「国産素材の味がしっかりしている」といった前向きな意見も出ています。
代替商品・リニューアル商品のおすすめ
① 国産純正こうじみそ 蔵出し生 500g
リニューアル後の新定番。国産素材100％で、香りとコクのバランスがよく、従来の味を求める人に最もおすすめです。
密封カップ容器で保存もしやすく、発酵香が引き立つ“生みそ”タイプ。
② 国産 味の饗宴 15割麹生 500g
甘口の味噌が好みの人にぴったり。15割麹のまろやかさと深みがあり、味噌汁や野菜ディップにも合います。
「味の饗宴15割麹生」シリーズの正統な後継モデルです。
③ 他メーカーの代替候補
もし近隣でマルサンアイ製品が手に入らない場合、同系統の味として以下も人気があります。
- ハナマルキ「こうじみそ 減塩タイプ」
- マルコメ「料亭の味 無添加」
- フンドーキン「無添加あわせみそ」
いずれも全国流通が安定しており、風味も比較的近いタイプです。
今後の味噌市場の行方
マルサンアイの動きは、単なるメーカー都合ではなく「時代の転換点」を象徴しています。
これまで当たり前のようにスーパーに並んでいた味噌が、これからはより高付加価値・小容量・個性化された商品へと変わっていくでしょう。
特に注目されているのが「生タイプ味噌」や「国産原料100％」への回帰。
健康志向の高まりとともに、無添加・非加熱・風味重視の製品が支持を広げています。
マルサンアイも、この流れに合わせてブランドを再構築していると考えられます。
まとめ｜マルサンアイの味噌終売は“終わり”ではなく“新しい始まり”
マルサンアイの味噌が終売となった背景には、
- 味噌市場の縮小
- 原料・コストの高騰
- 工場の老朽化と設備再編
といった複合的な要因がありました。
しかし、これは同社が「味噌事業をやめる」という意味ではありません。
むしろ、より高品質な国産素材へ軸足を移し、持続可能な形にアップデートしていくための再構築です。
これまで慣れ親しんだ味が変わるのは少し寂しいですが、
新しいマルサンアイの味噌は、“これからの家庭の味”を担う存在として期待できます。
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