ウイスキー好きの間で根強い人気を誇る「ロングモーン18年」。その芳醇な香りと奥行きのある味わいで、多くのファンを魅了してきました。しかし最近、このロングモーン18年が「終売になった」「もう買えない」と話題になっています。なぜそんなことになってしまったのか？今回はその理由や、今後の復活の可能性、さらに代替品についても詳しく解説していきます。
ロングモーン18年とはどんなウイスキー？
ロングモーン蒸留所は、スコットランド・スペイサイド地方の中心部、モレイ州ロングモーン村に位置します。創業は1894年。以来、ハイランド・スペイサイド系の華やかな香りと上品な甘みを併せ持つウイスキーを生み出してきました。
「ロングモーン18年」は、その中でも熟成年数を重ねた原酒だけを使用したプレミアムモデルです。蜂蜜のような甘さや熟した果実の香り、バニラやオークのニュアンスが絶妙に重なり合い、深みと滑らかさを兼ね備えた一本として知られています。ウイスキー愛好家の中でも評価が高く、「スペイサイドの隠れた名酒」とも呼ばれてきました。
ロングモーン18年が終売になったとされる背景
近年、ロングモーン18年の在庫が急速に減少し、多くの酒販店で「終売」「販売終了」との表記が見られるようになりました。その背景にはいくつかの要因が絡んでいると考えられます。
1. 原酒不足と長期熟成モデルの維持難
18年熟成のウイスキーを造るためには、当然ながら18年以上前に蒸留された原酒が必要です。しかし、世界的なウイスキーブームが続く中で、長期熟成の原酒は非常に貴重な存在となっています。ロングモーン18年も例外ではなく、原酒ストックの確保が難しくなっていると見られます。
特に近年は、熟成中の“エンジェルズシェア（蒸発による減少）”や貯蔵コストの上昇が大きな負担になっています。これにより、年数表記付きウイスキーの安定供給が困難になりつつあるのです。
2. ブランド戦略の転換とプレミアム化
ロングモーンは、かつて「15年」「16年」などの定番年数モデルを展開していました。しかし、2016年ごろからブランド戦略を見直し、より高級志向・限定志向へと舵を切っています。その流れの中で、定番モデルだったロングモーン18年も数量限定のスモールバッチへと変化していきました。
つまり「終売」といっても、完全に製造をやめたというよりは、「定常的な流通を終了し、限定的なプレミアム展開に切り替えた」というのが正確な状況です。今後も年に一度の限定リリースなどで姿を現す可能性があります。
3. 生産コストと価格の上昇
長期熟成ウイスキーは、熟成期間が長い分だけ在庫コストや蒸発ロスが大きく、価格設定も上がりがちです。近年は世界的なインフレや物流コストの上昇も重なり、価格を維持することが難しくなってきました。
ロングモーン18年も例外ではなく、旧モデルの価格が高騰。国内外の販売店では3万円台後半〜5万円を超えることも珍しくなくなり、一般的な流通商品としては成立しにくい価格帯になってしまったのです。
4. 限定仕様への切り替え
2024年には「ロングモーン18年」「ロングモーン22年」が数量限定で再リリースされました。これは従来の18年モデルとは異なり、年に一度だけボトリングされるスモールバッチ仕様で、カスクストレングス・ノンチルフィルタードといった“こだわり仕様”になっています。
このリニューアル版の登場によって、旧来の18年定番モデルは役目を終え、より希少で高付加価値なシリーズへと移行した形です。
「終売」は本当に終わり？復活の可能性を探る
ロングモーン18年は一度「終売」とされたものの、完全に消え去ったわけではありません。むしろブランドとしては“復活の兆し”を見せています。
新仕様としての再登場
前述の通り、2024年に新仕様モデルが数量限定で発売されました。これは「終売＝生産終了」ではなく、「モデルチェンジ」に近い意味合いです。ラベルデザインも一新され、より高級感のある装いになっています。
この動きを見る限り、ロングモーンは18年という熟成年数の価値をブランドの柱として残していく意向があると考えられます。ただし、以前のように常時入手できるわけではなく、「年に一度」「数量限定」で販売されるスタイルが主流になるでしょう。
原酒事情と市場動向
ウイスキーの熟成には時間が必要です。いま蒸留しても、次の18年モデルが出るのは2030年代に入ってから。つまり、短期的に従来の生産体制を戻すのは難しいのが現実です。
それでも、世界的なスコッチ需要の高まりに応じて生産拡大が進められているため、長期的にはロングモーンの定番年数モデルが再び安定供給される可能性もあります。ブランド価値を高めるには、定期的な数量限定リリースを続けるのが現実的な選択肢でしょう。
ロングモーン18年の代替品としておすすめの銘柄
「もう18年が買えない」と嘆く声も多いですが、味わいの系統が近いウイスキーはいくつか存在します。ここではロングモーン18年ファンが満足できる代替候補を紹介します。
ロングモーン22年
同じ蒸留所からリリースされている上位モデル。ロングモーン18年の延長線上にある味わいで、より奥深く、熟した果実とオークの複雑な香りが広がります。数量限定ですが、希少性と満足感のバランスが取れた一本です。
ロングモーン ザ・ディスティラーズ・チョイス
熟成年数の明記がないNASモデルながら、ロングモーンらしい華やかさとバニラ香、優しいスパイス感がしっかり楽しめます。比較的入手しやすく、価格も手頃。普段飲みや代替品としておすすめです。
グレンフィディック18年
スペイサイド地方の代表格ともいえるグレンフィディック。ロングモーン18年と同じくフルーティーで軽やかな飲み口が特徴です。熟成感と価格のバランスも良く、18年モデルの代わりに選ぶ人も多い銘柄です。
グレンマレイ18年
スペイサイドの中でもコストパフォーマンスに優れた一本。リンゴやハチミツのような香りが心地よく、やや柔らかめの口当たりが魅力です。ロングモーン18年よりも軽快ですが、方向性としては近い印象があります。
現在の入手状況と購入のポイント
現在、旧ロングモーン18年はほとんどの正規流通で取り扱いが終了しています。ただし、並行輸入品やコレクター市場ではまだ入手可能な場合もあります。購入を検討する際は、以下の点に注意しましょう。
- ボトル状態と保存環境：高額な取引が多いため、液面低下やラベルの劣化などを必ず確認する。
- 信頼できる販売店を選ぶ：オークションや個人取引では偽物リスクもあるため、正規代理店や実績ある酒販店を利用する。
- 新仕様モデルとの混同に注意：2024年以降の限定リリース版は、旧ボトルとはラベル・度数・仕様が異なるため、購入前にスペックを確認しておく。
ロングモーン18年終売の真相まとめ
ロングモーン18年が終売になった背景には、
・長期熟成原酒の不足
・生産コストの高騰
・ブランドのプレミアム化戦略
など、いくつもの要因が重なっています。
しかし“終売”とはいえ、ブランドが18年熟成という象徴を捨てたわけではありません。むしろ新しい形で再定義し、限定的ながらも高品質なウイスキーとして再登場しているのです。
ウイスキーは「時」を味わう酒です。ロングモーン18年が手に入りにくくなった今だからこそ、その価値を再確認しつつ、ロングモーン22年やロングモーン ザ・ディスティラーズ・チョイスなど、新しい一杯に出会う楽しみを見つけてみてください。
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