アードベッグ5年が終売?ファンをざわつかせる噂の真相
「アードベッグ5年が終売するらしい」──そんな話を最近SNSやウイスキーフォーラムで目にした人も多いのではないでしょうか。
スモーキーなアイラモルトを代表するアードベッグにとって、5年熟成の「Ardbeg Wee Beastie 5 Years Old」は異色の存在でした。若さゆえの荒々しさが魅力とされる一方、その“短命説”も囁かれています。
では、本当に終売なのか? それとも一時的な流通減少なのか?
そしてもし姿を消すなら、次に狙うべきウイスキーは何なのか──。
ここでは、最新情報をもとに冷静に整理していきます。
アードベッグというブランドの背景
アードベッグ蒸留所はスコットランド・アイラ島の南岸に位置し、強烈なピート香で知られるシングルモルトの名門です。創業は1815年。幾度もの操業停止を経て、1997年にLVMH傘下のグレンモーレンジ社によって復活しました。
“ヘヴィピート”という個性を貫きつつ、現代的なブランディングで人気を拡大。代表的な「アードベッグ10年」は、今も世界中でアイラモルトの象徴的存在です。
近年は蒸留設備を増強し、生産量も拡大中。限定ボトルや年数表記なし(NAS)のシリーズも多く、コアレンジの刷新が続いています。
話題の中心「アードベッグ ウィー・ビースティ5年」とは
2020年に登場した「Ardbeg Wee Beastie 5 Years Old」は、アードベッグにおける最も若い熟成年数を掲げたレギュラーモデルです。
名称の「Wee Beastie」とはスコットランド方言で“小さな野獣”を意味し、その名の通り、強烈なピートと若々しいスパイシーさが特徴。
熟成にはバーボン樽とオロロソ・シェリー樽が使用され、アルコール度数は47.4%。
アードベッグらしいスモーク感に、荒削りながらも鮮烈な余韻を持つ1本として高い人気を博しました。
「アードベッグ10年」と比べて価格が手頃でありながら、しっかりとした個性を味わえる点も支持を集めた理由です。
「終売」の噂はどこから来たのか
現時点で、アードベッグ公式サイトでは5年のWee Beastieが掲載されています。つまり、公式発表としての終売は確認されていません。
ではなぜ「終売か?」という声が広がっているのでしょうか。主な要因は以下の通りです。
- 一部通販サイトでの在庫減少
海外のウイスキーショップでは「残少」「在庫限り」といった表示が増えています。
このため「流通停止=終売」と誤解されているケースがあります。 - ウイスキーエクスチェンジなどでの“Discontinued”表示
一部データベースでは、Wee Beastieを“Discontinued(終売)”として扱う記述も見られます。
ただし、これは「在庫切れ」や「一時的な休止」を意味することも多く、即ち製造終了ではない可能性も。 - ブランド戦略の変化への推測
アードベッグは「アードベッグ アン・オー」や「アードベッグ コリーヴレッカン」など年数表記のないシリーズを積極展開中。
この動きから、「若年モデルの整理=5年が姿を消すのでは」という憶測が立ちやすくなっています。
もし終売なら、その背景にある理由
原酒・在庫のバランス調整
アードベッグは人気急上昇中で、需要に対して原酒供給が追いつかない状況が続いています。
熟成期間の短い5年といえど、一定量の原酒確保が必要。10年や限定シリーズとの兼ね合いで、優先順位を付ける必要があるのかもしれません。
ブランドの方向性と価値維持
5年という若さは話題性がありますが、ブランド全体のプレミアムイメージを維持するうえでは難しい側面も。
“若くて安い”が“高品質で高級感ある”ブランドの核と両立しにくい、という判断も考えられます。
年数表記なし(NAS)化の流れ
ウイスキー業界では原酒不足や需要拡大により、年数表記を外す流れが進んでいます。
アードベッグもこの方向に舵を切っており、今後は「年数より味わい」で差別化する戦略に移行する可能性があります。
今買うべき?アードベッグ5年の価値
今のところ終売確定ではないものの、実店舗や通販での流通量が明らかに減っているのは事実。
在庫があるうちに確保しておきたいというファン心理は理解できます。
特に、5年という熟成年数の公式ボトルはアードベッグ史上でも珍しく、将来的にはコレクターズアイテム化する可能性もあります。
ただし、希少性や価格上昇を狙った“投機的購入”はリスクも伴います。
ウイスキーは嗜好品。まずは「味わって楽しむ」目的を大切にするのが本来の楽しみ方です。
次に狙うべきアードベッグのラインナップ
「もし本当に5年が終売になったら、次に何を選べばいいの?」
そう感じた方に向けて、アードベッグの現行モデルの中から注目すべき3本を挙げておきます。
1. アードベッグ10年
ブランドの基礎を築いた定番中の定番。強烈なピート香とバランスの取れたボディ。
初心者からマニアまで幅広く愛されており、在庫も安定している。迷ったらまずこの1本です。
2. アードベッグ アン・オー
年数表記なしの新世代モデル。複数の樽で熟成された原酒をヴァッティングしており、スモーキーさとまろやかさが共存。
ブランドの“次の時代”を感じさせる存在です。
3. アードベッグ コリーヴレッカン
高アルコール(57.1%)で力強く、ブラックペッパーのような刺激と深い余韻。
5年の荒々しさが好きな方には、このモデルのワイルドさも刺さるでしょう。
他ブランドで“次の一手”を探すなら
アイラモルトファンなら、他の蒸留所にも注目してみる価値があります。
- ラフロイグ 10年:同じくピート香が強く、アードベッグよりも薬草的。クラシックなアイラを堪能できます。
- ラガヴーリン 8年:熟成年数は短めながら完成度が高く、コスパの良さで人気。
- カリラ 12年:ややライトでバランス型。スモークが主張しすぎず、食中にも合わせやすい。
どれも「アイラモルトの入門」としても、「アードベッグ5年の後継」としても選びやすいラインです。
まとめ:アードベッグ5年の今とこれから
アードベッグ5年(Ardbeg Wee Beastie 5 Years Old)は、公式にはまだ終売発表されていません。
しかし市場では在庫減少や“Discontinued”表示が見られ、流通量の減少は確か。
この状況を踏まえると、「今が入手のラストチャンス」といっても大げさではありません。
若さゆえの荒削りなピート感、勢いのある飲み口は、他のどのアードベッグにもない個性です。
もし手に入る機会があるなら、1本は確保しておく価値があります。
そして次に狙うなら、ブランドの核である「アードベッグ10年」や、新世代を象徴する「アードベッグ アン・オー」などを選ぶのが賢明。
変化の激しいアイラモルト市場だからこそ、今この瞬間の“野獣”の味わいを心に刻んでおきたいものです。

コメント