近ごろ、「クラフト196が店頭から消えた」「どこにも売っていない」という声がSNSや口コミで増えています。サントリーの人気チューハイブランド「‐196℃」シリーズの中でも、ひときわ果実感が強く“まろやか”な味わいで好評だったクラフト196。なぜ突然姿を消してしまったのでしょうか。ここでは、終売の背景から再販の可能性までを詳しく解説します。
クラフト196とは?果実まるごとの贅沢チューハイ
まず、「クラフト196」とはどんな商品だったのかをおさらいしておきましょう。
クラフト196は、サントリーが手がけていたチューハイシリーズの一つで、特徴は「‐196℃製法」という独自技術。果実をマイナス196℃で瞬間凍結し、粉砕してアルコールに浸すことで、果実そのものの香りや旨味を引き出すという製法です。果実を“まるごと”感じられる味わいを目指しており、缶を開けた瞬間のフルーティーな香りが印象的でした。
「芳醇でまろやか」「手作りのような奥深さ」といった感想も多く、定番のレモンやグレープフルーツに加えて、期間限定フレーバーも登場。コンビニでも一時期よく見かける存在でした。
しかし、2024年春ごろから「在庫限り」「見つからない」「終売した?」と話題に。実際に、公式サイトや流通情報を追うと、クラフト196の販売が終了していることが確認されています。
クラフト196が終売した背景と理由
1. ブランド刷新とシリーズ再編
クラフト196の終売で最も大きな要因は、サントリーによる「‐196℃」ブランド全体のリニューアルです。
2024年に入り、同社は「ストロングゼロ」や「瞬間凍結」などを含むRTDブランドを統合・再編し、新ブランド「‐196(イチキューロク)」として刷新しました。
この再編により、旧シリーズにあたるクラフト196はラインナップから外れ、販売終了扱いとなったと見られます。ブランドを統一し、消費者にわかりやすく整理する意図があったと考えられます。
つまり「クラフト196がなくなった」というより、「‐196℃ブランドが新しい形に生まれ変わった」と捉えるのが正確です。
2. 市場トレンドの変化と健康志向の高まり
もう一つの背景には、チューハイ市場の潮流の変化があります。
かつては「ストロング系」と呼ばれる高アルコールチューハイ(アルコール度数8~9%程度)が人気でしたが、ここ数年は健康志向・飲酒量の見直しが進み、低アルコールや微アルコール製品の需要が急増しています。
クラフト196は果実感を重視していたとはいえ、しっかりした飲みごたえが特徴の一つでした。そのため、ライト志向の消費者ニーズからやや離れてしまった可能性があります。
また、政府や自治体の「過度な飲酒を控える」啓発や、アルコール関連の自主規制強化も影響を与えたと考えられます。メーカー側もリスクを避けるため、より“やさしい飲み心地”のラインへシフトしたのかもしれません。
3. 流通・コスト面の事情
クラフト196は果実をまるごと使用する独自製法で作られていました。そのため、製造コストや原材料の調達コストが高く、安定供給の難しさもあったと見られます。
また、RTD市場は新商品が次々と登場し、棚替えサイクルが早い業界。売れ筋でなければ、定番として残るのは難しいという現実もあります。
サントリーとしても、ブランド刷新のタイミングで販売効率や生産性を見直した結果、クラフト196の終了を決めた可能性が高いでしょう。
4. 消費者ニーズの多様化
かつては「ストロングゼロ」や「氷結ストロング」のような“ガツン系”が主流でしたが、近年は「クラフト感」「ナチュラル」「微炭酸」「糖質オフ」「果実感」といった価値軸が分散しています。
クラフト196は「果実感」重視という点で魅力的でしたが、同じ市場で競合する商品も増え、差別化が難しくなっていました。特に「果汁感の強いチューハイ」はローソンやセブンなどのPB商品でも展開され、競争が激化。結果的に、リニューアルの中で整理対象になったと考えられます。
終売後の在庫状況と購入できる可能性
すでにサントリー公式の製品一覧からはクラフト196のページが消えており、メーカー出荷は終了している模様です。
ただし、店舗や通販によってはまだ在庫が残っているケースもあります。特に地方スーパーや業務用卸を経由している場合、一定数が流通していることがあります。
ネット通販では「在庫限り」「再入荷予定なし」と表示される商品も多く、現時点では見つけたら“最後のチャンス”と言えるでしょう。
一部の小売サイトでは、2024年時点で終売表示がされているにもかかわらず、倉庫在庫分として販売が続いている例も確認されています。今後も公式再販がない限り、徐々に市場から姿を消していく見込みです。
再販の可能性はある?
「また飲みたい」「あの味が忘れられない」という声も多く、再販を望むファンは少なくありません。しかし現時点で、クラフト196という名称そのままでの再発売情報は出ていません。
ただし、「‐196」ブランドは刷新後も新商品を積極的に展開しており、果実をまるごと使う技術は引き続き活用されています。
つまり、「クラフト196」という名での復活は難しくても、同じ系譜の味わいを持つ“新世代チューハイ”が登場する可能性は十分にあるでしょう。
ブランド再編の際、製法やノウハウが完全に消えるわけではなく、むしろ新ブランドに受け継がれていくことが多いです。今後の「‐196」シリーズから目が離せません。
代替・後継として選ばれている商品
クラフト196が手に入らなくなった今、「似た味わいを楽しめるチューハイが欲しい」という人も多いはずです。
代替候補として注目されているのは、同じサントリーの「‐196」ブランドの中でも果実感を強調したライン。また、他メーカーでは以下のようなシリーズが比較的近いポジションにあります。
- アサヒ 贅沢搾りシリーズ:果汁を多く使い、自然な酸味と甘みが特徴
- キリン 本搾りチューハイ:果汁そのまま+無糖系で飲みやすい
- サントリー ほろよい:クラフト196より低アルコールでまろやか
これらはいずれも果実本来の香りやジューシーさを重視しており、「クラフト196の雰囲気が好きだった人」に向いています。味やアルコール度数の好みに応じて選ぶのがおすすめです。
終売から見えるチューハイ市場の今後
クラフト196の販売終了は、一つの商品が消えたというより、チューハイ市場全体の変化を象徴する出来事といえます。
RTD市場は今後、「高アルコールから低アルコールへ」「刺激系からやさしさ・素材感へ」という流れがさらに加速していくでしょう。
メーカー各社は、飲用シーンの多様化(食中・リラックス・在宅)に合わせ、よりライトで自然な味わいを提案する方向に動いています。
クラフト196で培われた“果実を生かす技術”は、この新しい市場に活かされていくはずです。
クラフト196終売の理由と今後に寄せて
クラフト196が終売したのは残念ですが、その背景にはブランド刷新、嗜好変化、コスト構造など、複数の要因が絡んでいます。
ただし、果実の旨味を生かす“クラフトスピリット”はサントリーのDNAとして生き続けています。今後登場する新シリーズや限定品の中で、クラフト196の流れを感じる商品に出会えるかもしれません。
手に入らなくなった今こそ、改めて「クラフト196が愛された理由」を振り返りながら、次の一杯を探してみてください。

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