ウイスキー好きの間で長年愛されてきた「グレンモーレンジ ラサンタ」。
その甘く芳醇な香りとシェリー樽特有のリッチな余韻が魅力で、特に初心者にも飲みやすい一本として知られてきました。ところが最近、このラサンタに「終売」「販売終了」といった情報が飛び交い、SNSやウイスキーファンの間でざわつきが広がっています。
果たして本当に終売してしまうのか? それともリニューアルなのか?
この記事では、実際の動きと背景をわかりやすく整理してお伝えします。
グレンモーレンジ ラサンタとはどんなウイスキー?
まずはラサンタという銘柄の基本をおさらいしておきましょう。
「グレンモーレンジィ(Glenmorangie)」はスコットランド・ハイランド地方にある老舗蒸溜所。世界的に有名なシングルモルトウイスキーのひとつで、軽やかでフルーティーな原酒づくりに定評があります。蒸留器の高さが異常なほど高いことでも知られ、その繊細で上品な香りはブランドを象徴する要素です。
その中でもラサンタは、“追加熟成(フィニッシュ)シリーズ”の代表格。
バーボン樽で熟成させた原酒を、スペイン産のオロロソやペドロヒメネスといったシェリー樽でさらに熟成させたウイスキーです。
味わいは非常にリッチで、レーズンやトフィー、ハチミツ、チョコレート、スパイスが感じられる甘口タイプ。シェリー樽由来のまろやかな甘さとスパイシーさのバランスが絶妙で、「食後のデザートウイスキー」としても人気でした。
12年熟成・43%アルコールのこのモデルは、日本でも定番の一本として多くのファンを持っていました。
「終売」の噂は本当?12年ラサンタが消える理由
では本題です。
「グレンモーレンジ ラサンタ 終売」と検索すると、2025年に入ってから“12年ラサンタが終売になった”という情報が相次いでいます。これは単なる噂ではなく、実際にブランドの公式発表でリニューアルが行われたことが確認されています。
モエ・ヘネシー・ディアジオ(MHD)が2025年4月に発表した内容によると、これまで販売されてきた**グレンモーレンジ ラサンタ 12年は生産終了し、代わってグレンモーレンジ ラサンタ 15年**が新たに登場しました。
つまり「終売」というよりは、「年数表記を12年から15年に変更してリニューアル」された形です。
新ラサンタは、熟成年数を3年延ばしたことでより深みとコクを増し、香りの複雑さが際立つ仕上がりになっているといわれています。
モデルチェンジの背景:なぜ15年に?
ウイスキーの世界では、ブランドのリニューアルは珍しくありません。
では、グレンモーレンジィがラサンタを15年に変えた理由はどこにあるのでしょうか。
開発チームを率いるのは、ウイスキー界のカリスマ的存在ドクター・ビル・ラムズデン氏。
彼は長年にわたり「熟成によって味わいの複雑さを高める」ことを追求しており、今回の変更もその哲学に沿ったものだとされています。
近年、ウイスキー原酒の供給が逼迫し、熟成期間をコントロールする難しさが増している中で、グレンモーレンジィはあえて“長期熟成へ舵を切る”方向に動きました。
結果として、12年モデルよりも濃厚で奥行きのある味わいを実現したのが15年版のラサンタです。
終売になった12年ラサンタの魅力を改めて振り返る
リニューアルによって新しい味わいが登場する一方で、旧モデルのグレンモーレンジ ラサンタ 12年には特有の魅力がありました。
・レーズン、シナモン、クローブ、バターキャラメルのような甘香ばしさ
・口に含むとまろやかな甘味が広がり、軽やかなスパイスが後を追う
・飲みやすさと上品さのバランスが絶妙
この特徴から、初心者でも楽しめる“シェリー樽ウイスキーの入門書”的な存在として愛されてきました。
特に女性やスイーツ好きにも人気が高く、ラサンタをきっかけにシングルモルトの世界に入ったという声も少なくありません。
「甘口のウイスキーといえばラサンタ」と語るファンも多く、12年モデルの終売を惜しむ声がSNSやレビューサイトで相次いでいます。
新ラサンタ15年はどんな味?期待と不安
では、リニューアル後の「グレンモーレンジ ラサンタ 15年」はどんな仕上がりなのでしょうか。
発表資料によると、15年モデルはこれまでよりも熟成樽の選定を厳しく行い、オロロソシェリー樽とペドロヒメネス樽を中心に再構成。熟成期間の延長によって、より深みと厚みを感じられるようになったそうです。
公式コメントでは、「リッチで甘美、そしてスパイスが織りなすエレガントな味わい」という表現が使われており、12年版の華やかさに加えて、より落ち着いた“大人の甘さ”が楽しめる一本になったとされています。
ただし、12年の軽やかさや飲みやすさを好んでいたファンにとっては、少し重厚すぎると感じるかもしれません。
好みが分かれそうなポイントですが、“熟成による進化版”と捉えれば、味わいの変化を楽しむ面白さがあります。
旧ボトルの入手はできる?在庫・価格の現状
気になるのは、グレンモーレンジ ラサンタ 12年が今後どこで手に入るのかという点です。
現在、正規代理店からの出荷はすでに終了していますが、オンラインショップや並行輸入ルートでは在庫が残っている場合があります。
ただし、多くのショップで「終売」「在庫限り」「再入荷なし」と表示されており、今後の入手はどんどん難しくなりそうです。
価格も少しずつ上昇傾向にあります。
以前は6,000円台前後で購入できたのに対し、終売が報じられてからは7,000~9,000円台に高騰しているケースも見られます。希少ボトルとしてプレミアがつく可能性もあり、旧ラベルのコレクターズアイテム化が進むかもしれません。
シェリー樽ファンにおすすめの代替ウイスキー
「もうラサンタ12年は買えないの?」という人に向けて、同じような味わいの代替候補も紹介しておきます。
・アベラワー 12年 ダブルカスクマチュアード
甘く濃厚なシェリーフィニッシュで、レーズンやチョコの香りが特徴。価格も手頃で人気。
・グレンドラモンド 12年
伝統的なシェリーカスク熟成による芳醇な甘さが魅力。ラサンタ好きなら気に入るはず。
・マッカラン シェリーオーク 12年
同じくオロロソ樽仕込みで、よりリッチで華やかな味わい。特別感を求める人に。
・グレンモーレンジ ネクター・ドール
ラサンタと同シリーズのソーテルヌ樽フィニッシュモデル。フルーティーで上品な甘さが特徴。
どれも甘口寄りの味わいで、ラサンタ12年を好んでいた人にとっては“次の一歩”として楽しめるラインナップです。
まとめ:グレンモーレンジ ラサンタの終売は新しい始まり
「グレンモーレンジ ラサンタ 終売」という言葉に少し寂しさを感じる人も多いでしょう。
しかし実際には、ブランドがさらなる熟成と品質向上を目指した“進化の一歩”でもあります。
12年ラサンタが築いた甘口シェリー樽の魅力は、多くのファンに記憶されています。
そして新しく登場したグレンモーレンジ ラサンタ 15年は、その伝統を受け継ぎながら、より豊かで奥行きのある味わいへと成長しました。
もしまだ旧ボトルが手に入るなら、ぜひ飲み比べてみてください。
12年の軽やかさと15年の深み、その両方を味わうことで、グレンモーレンジィというブランドの哲学がより鮮明に見えてくるはずです。
ウイスキーの世界は常に変化しています。
終売は“終わり”ではなく、“新たな物語の始まり”。
これからのグレンモーレンジ ラサンタがどんな進化を遂げていくのか――その行方に注目です。

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