「最近、スーパーやコンビニで見かけなくなったけど、あの麒麟発酵レモンサワーって終売になったの?」
そんな疑問を持った人、多いのではないでしょうか。かつてSNSでも「レモンよりレモン感がある」と話題になったこの商品、じつは2024年秋をもって出荷終了となっています。ここでは、終売の背景やファンの反応、今後の展開までを詳しく見ていきましょう。
麒麟発酵レモンサワーとは?「発酵」という一歩進んだレモンサワー
麒麟発酵レモンサワーは、2021年3月にキリンから発売されたチューハイ。
一般的なレモンサワーと違い、「発酵レモン果汁」を使ってレモンの香りや旨味を引き出した、いわば“発酵技術を使った進化系サワー”でした。
発売当初のキャッチコピーは「自然の恵み“発酵”が育んだ、心地よいおいしさ」。
香料・酸味料・甘味料を極力使わず、果汁そのものの風味を活かした自然派の設計が特徴で、発売からわずか4日で1000万本を突破するなど、華々しいスタートを切りました。
その後、2022年1月と7月にリニューアルを実施。
酵母や製法を見直して香気成分を増やすなど、改良を重ねながらシリーズ展開も拡大していきました。5%・7%といったアルコール度数のバリエーションも登場し、「食事に合う」「飲み飽きない」と好評だったのです。
終売の公式情報とスケジュール
しかし、公式サイトの「出荷終了商品リスト」によると、麒麟発酵レモンサワーの出荷終了月は2024年11月。
つまり、すでにメーカー出荷は終了しており、流通在庫がなくなり次第、店頭から姿を消す流れとなっています。
ここでよく混同されるのが「製造終了」と「出荷終了」。
製造終了は工場での生産が止まるタイミング、出荷終了は在庫を含めて出荷を終える時期を指します。
今回の麒麟発酵レモンサワーは「出荷終了」と明示されているため、メーカー在庫の出荷を終え、今後は新たに生産される予定がないと考えられます。
なぜ終売に?考えられる理由を整理
メーカーが明確な“終売理由”を発表しているわけではありませんが、いくつかの要因が重なったと見られます。
1. 市場競争の激化
缶チューハイ(RTD)市場は今や百花繚乱。
レモンサワーだけでも、定番ブランドやコンビニ限定商品、糖質オフタイプなどがひしめいています。
麒麟発酵レモンサワーのような“中価格帯・自然志向”の商品は、競争の中で埋もれやすく、ブランドの鮮度を保つのが難しくなっていたのでしょう。
2. ブランド戦略の刷新
2024年春、キリンは新ブランド「麒麟百年 極み仕立て レモンサワー」を発売しました。
より“本格志向・上質路線”に振ったこのブランドは、麒麟発酵レモンサワーの後継的な立ち位置とも言えます。
つまり、ブランドポートフォリオの整理の中で「発酵」シリーズがフェーズアウトし、新シリーズへバトンタッチしたと考えられます。
3. 製造コストと原料調達の負担
発酵レモン果汁の製造には特殊な工程が必要で、通常のチューハイよりも手間とコストがかかります。
加えて果汁使用量が多く、原材料費の高騰や輸入果実の調達コスト増も影響した可能性があります。
コスト構造を見直す中で、生産を続けるハードルが上がったとみられます。
4. RTD市場のトレンド変化
近年は「低アルコール」「糖質ゼロ」「機能系」など、新しい嗜好が台頭しています。
麒麟発酵レモンサワーのような“ナチュラル×発酵”のコンセプトは一時的に注目を集めましたが、トレンドの移り変わりが速いRTD市場では短命化が避けられません。
約3〜4年という寿命は、むしろ平均的と言えるでしょう。
消費者の反応と“惜しまれる声”
SNSでは、終売を惜しむ声が相次いでいます。
「唐揚げにはこれが一番合ったのに」「他のレモンサワーではこの香りが出せない」といった投稿も目立ちました。
また、ファンの中には“発酵レモンサワー沼”という言葉まで使う人もおり、独特の酸味と旨味にハマっていた層も少なくありません。
一方で、「最近売ってない」「どこにも置いてない」と気づいた人が終売を知り、驚くケースも。
特にコンビニでは在庫が早期になくなり、店頭で見かける機会が急減しました。
現在は一部の通販サイトや酒販店で在庫が流通しているものの、ほぼ市場から姿を消しつつあります。
「麒麟百年 極み仕立て レモンサワー」へのバトンタッチ
終売後の動きとして注目されるのが、2024年に登場した「麒麟百年 極み仕立て レモンサワー」。
この商品は“発酵”を直接うたってはいないものの、キリンが長年培った果実発酵・香気技術を継承しており、「手間ひまかけた果実感」を訴求しています。
麒麟発酵レモンサワーの開発経験が、この新ブランドの味づくりや技術の土台になっていると考えられます。
つまり、「麒麟発酵レモンサワー」というブランド名こそ消えたものの、そのDNAは確実に次の世代に受け継がれているのです。
終売が示すキリンの戦略的転換
キリンはここ数年、“発酵”をキーワードにした飲料開発を多方面で展開してきました。
ビールやノンアルコール飲料だけでなく、健康科学領域でも発酵由来素材の研究を進めています。
麒麟発酵レモンサワーは、そうした取り組みの“アルコール版の実験”だったとも言えるでしょう。
ブランドの刷新は単なる終了ではなく、「次に進むための整理」。
新ブランドや限定商品で、発酵技術を活かした新しい味わいが再登場する可能性は十分あります。
過去には「本麒麟」や「キリンウイスキー陸」なども、改良を重ねながらシリーズを再構築してきた実績があります。
麒麟発酵レモンサワーも、今後どこかで復活する日が来るかもしれません。
終売後の楽しみ方と代替候補
もし店頭で見つけたら、それは“最後の在庫”かもしれません。
終売を知ったファンの中には、「見つけたら即買いしてストックしている」という人も。
在庫はすでに少なくなっていますが、Amazonや一部のオンラインショップで残っている場合もあるので、気になる方はチェックしてみてもよいでしょう。
また、「麒麟百年 極み仕立て レモンサワー」シリーズをはじめ、他メーカーの“果汁発酵系チューハイ”も試してみるのがおすすめです。
「発酵」の奥行きある味わいにハマった人は、似た系統のレモンサワーを探すのも楽しいはず。
レモンサワー市場は次々と新製品が登場しているので、今後も「次の主役」が現れるかもしれません。
麒麟発酵レモンサワー終売まとめと今後への期待
麒麟発酵レモンサワーは、発酵技術をチューハイに応用した意欲的な商品でした。
自然なレモン感、まろやかな酸味、そして香料に頼らない設計。
それらは多くのファンに支持されながらも、市場環境の変化やブランド戦略の再構築によって2024年11月に幕を閉じました。
しかし、終売は“完全な終わり”ではありません。
発酵技術はキリンの研究・開発の中で今も息づいており、新たな商品へと形を変えています。
「麒麟百年 極み仕立て レモンサワー」のように、次世代のレモンサワーとして再び“発酵の系譜”が注目される日も遠くないでしょう。
麒麟発酵レモンサワーを愛した人たちの記憶とともに、キリンの挑戦は続いていきます。
そして、次に現れる一杯がどんな味わいを見せてくれるのか——それを楽しみに待ちたいですね。

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