りんごの爽やかな香りとすっきりした飲み口で人気だった「キリン ハードシードル」。
ビールでもチューハイでもない新感覚の発泡酒として、バーや飲食店で一度は見かけた人も多いのではないでしょうか。そんなハードシードルが、ついに終売となってしまいました。
この記事では、販売終了の背景や理由、そして今後の再販の可能性、さらに代わりになるおすすめのシードルについて詳しく見ていきます。
キリン ハードシードルとは？りんごの魅力を詰めた発泡酒
「キリン ハードシードル」は、りんごを発酵させて造る“シードル（Cidre）”と呼ばれる果実酒。
ビールのような炭酸の爽快感がありつつ、ワインのような果実味も楽しめるのが特徴でした。
日本ではキリンビールが2013年ごろから飲食店向けに展開を始め、2016年には一般向けにも発売。
当時のキャッチコピーは「甘くないりんごの発泡酒」。アルコール度数は4.5～5％ほどで、軽やかな飲み口が人気を集めました。
瓶入りタイプ（290ml・330ml）や樽詰タイプなどがあり、居酒屋やバーではドラフトで提供されることも。
一方で、家庭用にも手に取りやすいサイズが登場し、「ビールが苦手でも飲みやすいお酒」として話題になりました。
ハードシードルが終売に至ったのはいつ？
キリンの公式サイト「出荷終了品一覧（お酒）」には、ハードシードルが“出荷終了”として掲載されています。
製造終了時期は2023年春〜夏ごろとされ、SNSでは「2023年9月で生産終了します、15年間ありがとうございました」といった投稿も見られます。
飲食店向けの樽商品、そして家庭用ボトル製品の両方が対象でした。
つまり、10年以上にわたって展開されてきたブランドが、2023年をもって静かに幕を閉じたということです。
一部店舗では在庫が残って販売を続けていた時期もありますが、現在はほぼ入手困難となっています。
なぜキリン ハードシードルは販売終了になったのか？
終売の理由について、キリンから公式なコメントは出ていません。
しかし、業界の動きや市場分析から、その背景を読み解くことはできます。
1. シードル市場の成長鈍化
欧米ではシードルは日常的に飲まれるお酒ですが、日本ではまだ“ niche（ニッチ）”な存在。
一部のファン層に支持されたものの、市場全体として大きく拡大するには至りませんでした。
甘くないりんご酒という個性は評価されたものの、ビールやチューハイに比べて認知度が低く、
「どの場面で飲むか」が定着しなかった点が課題といえます。
2. 消費者トレンドの変化
日本のアルコール市場全体で“飲まない人”が増加傾向にあります。
健康志向や若年層のアルコール離れが進み、ライトな飲み物やノンアルコールへの関心が高まっているのです。
ハードシードルは低アルコールとはいえ、果実由来の糖分もあり、「甘さ控えめ」でも一定のカロリーが気になる層も。
結果として、より健康的・軽量志向の商品に流れる消費者が増えたと考えられます。
3. コスト・販売戦略の見直し
原材料となるりんご果汁の価格上昇、物流費の高騰、製造ラインの効率化なども無視できません。
メーカーは常にコストと売上のバランスを見直しており、
売上が限定的な商品カテゴリはどうしても優先順位が下がってしまいます。
さらにキリンは近年、「クラフトビール」「ノンアル飲料」「ハードセルツァー」など新たな分野に注力中。
そうした流れの中で、シードル事業は一旦整理されたと考えるのが自然です。
終売発表への反響とファンの声
SNSでは、長年の愛飲者から惜しむ声が多く上がりました。
- 「あのすっきり感が他にない」
- 「ビールが苦手でも飲みやすかった」
- 「居酒屋でハードシードルを頼むのが楽しみだった」
中でも印象的なのが「15年間ありがとう」というメッセージ。
それだけ長く親しまれ、愛着を持たれた商品だったことが分かります。
一方で、「最近見かけなくなっていた」「家飲みでは買いづらかった」との声もあり、
流通の限定性がブランド維持の難しさを示していたとも言えます。
再販の可能性はあるのか？
現時点で、キリン公式サイトやプレスリリースに「再販予定」の情報はありません。
出荷終了リストに掲載された商品は、基本的に再登場しないケースが多いです。
ただし、酒類業界では「限定復刻」「周年記念」「地域限定販売」などの形で一時的に復活する例も。
シードル人気が再燃した場合、復刻の可能性がゼロとは言い切れません。
実際、世界的には「クラフトシードル」や「ナチュラルワイン系」の需要が再び高まりつつあります。
日本でも果実酒ブームが来れば、再評価される日が来るかもしれません。
キリン ハードシードルの代わりになるおすすめ商品
「もうハードシードルが買えないの？」という人のために、代替として楽しめるシードルや類似商品を紹介します。
1. ニッカ シードル スイート／ニッカ シードル ドライ
日本のシードル市場を代表するブランド。
国産りんごを使用し、甘口・辛口の2タイプを展開しています。
ハードシードルよりも果実感が豊かで、香りを楽しみたい人におすすめ。
2. サントリー りんごのお酒
期間限定で登場することもある、りんごを使った発泡系のお酒。
軽くて飲みやすく、価格も手頃。季節によってはコンビニでも入手できます。
3. 輸入シードル（マグナーズ／ストロングボウなど）
アイルランドやイギリスの伝統的シードルブランド。
ドライで爽快な味わいが特徴で、ビール好きにも人気です。
アルコール度数がやや高めなので、しっかり飲みたい派にも向いています。
4. ハードセルツァー（スミノフ セルツァーなど）
りんご風味ではないものの、低糖・低アルコールの新カテゴリー。
「軽くて飲みやすい炭酸系のお酒」という点では、ハードシードルの後継的存在といえます。
ハードシードルが残したものと今後のシードル市場
ハードシードルは、日本のシードル文化を広めた先駆けでした。
それまで「シードル＝海外のもの」という印象が強かった中、
国内メーカーが真剣にこのカテゴリーを育てようとした試みは大きな意義があります。
終売は残念ですが、その存在があったからこそ、現在の多様なシードル商品が生まれたとも言えます。
今後はクラフトシードルや国産リンゴを使った地域ブランドがさらに増えていくでしょう。
消費者の嗜好が「軽く」「自然で」「フルーティー」に変化する中、
シードルというジャンルはまだまだ進化の余地を残しています。
キリン ハードシードル終売の真相まとめ
・2013年ごろから飲食店向けに展開され、2016年には一般発売された。
・2023年5月〜9月頃に出荷・生産終了。
・理由は、市場縮小・健康志向の高まり・コスト増・戦略転換などが複合的に影響。
・再販予定は現時点でなし。
・代替としてニッカ シードル スイートやストロングボウ、スミノフ セルツァー系が人気。
ハードシードルが姿を消しても、その味を懐かしむ声は今も多くあります。
りんごの発泡酒というジャンルを一度でも広めた功績は大きく、
「またあの味に出会いたい」というファンの思いが、いつか新しい形で実を結ぶかもしれません。
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