「えっ、あのミネラルウォーターが終売?」
そんな声がSNSで広がったのは、ここ数年のこと。特にフランス産の人気ブランド「ボルヴィック(Volvic)」が日本で販売終了を発表したとき、多くのファンが驚きとともに「なぜ?」と疑問を抱きました。
この記事では、ミネラルウォーターの終売事情や背景、そして今後選びたい代替ブランドまでを、わかりやすくまとめていきます。
ミネラルウォーター市場は拡大しているのに「終売」が起きる理由
まず不思議なのは、「ミネラルウォーター市場は右肩上がりなのに、なぜ有名ブランドが終売するのか?」という点です。
日本国内ではここ数年、天然水や炭酸水の需要が高まり続けています。災害備蓄や健康志向、環境配慮といった要因で、ペットボトル入りの水は日常に欠かせない存在となりました。
それにもかかわらず、特定ブランドの販売終了が相次ぐのはなぜでしょうか。
実は、成長市場の裏には「構造変化」という大きな波があるのです。
ボルヴィック(Volvic)が終売した本当の理由
ミネラルウォーターの終売を語る上で象徴的なのが、フランスの名水「ボルヴィック(Volvic)」の国内販売終了です。
キリンビバレッジが輸入・販売を担っていたこのブランドは、2020年末で日本での販売を終了しました。
主な理由は次の通りです。
- 製造委託契約の満了
フランス本社との契約が満了し、更新されなかったことが大きな要因でした。ビジネス上のパートナーシップが途切れたことで、継続販売が難しくなったのです。 - 国産天然水へのシフト
近年、日本では「国産の天然水」や「採水地が明確な軟水」を選ぶ人が増えています。輸入水はおしゃれで高級というイメージが薄れ、むしろ「地産の安全・安心な水」に人気が集まっています。 - コストと物流の問題
輸入品ゆえに、為替の変動や輸送コストの上昇が直撃しました。円安の影響もあり、国内生産の水に比べて価格競争力を保つのが難しくなっていたのです。 - 環境・水源の課題
ボルヴィック(Volvic)の採水地では、過度な採水による環境影響が指摘されることもあり、持続可能性の観点からブランドイメージに影を落とした側面もあります。
つまり「売れなくなった」というより、「構造的に維持できなくなった」というのが実態。
終売は悲しいニュースではありますが、背景にはグローバルなサプライチェーンや環境意識の変化といった、時代の流れがはっきり見えているのです。
「終売」は他人事じゃない。ブランドが消える条件とは?
ボルヴィック(Volvic)に限らず、今後もミネラルウォーターの終売が起こる可能性はあります。
どんなブランドが“消えやすい”のか。その傾向を整理すると、以下のようになります。
- 輸入ブランド:契約更新や為替変動のリスクが高く、販売終了になりやすい。
- 販売数量が少ない商品:一定の需要がないと、流通コストに見合わず終売対象になる。
- 差別化の難しいブランド:硬度や味わいが似ており、「どれでもいい」と思われがち。
- 環境配慮に遅れるブランド:リサイクルや水源保全への対応が遅れると、支持を失う。
こうして見ると、終売には“売れ行き”だけでなく“企業の方向性や社会的価値観”が深く関わっていることがわかります。
終売したブランドの代替として人気の「国産天然水」
終売ブランドを惜しむ声がある一方で、今の市場では国産ブランドが存在感を強めています。
いくつか注目のブランドを挙げてみましょう。
- い・ろ・は・す(I LOHAS)
全国6つの採水地から供給される軟水。まろやかで飲みやすく、環境配慮の軽量ボトルが特徴です。ラベルレス仕様も選べます。 - サントリー 天然水(南アルプス/阿蘇/奥大山)
水源ごとに個性の異なる軟水で、全国的な信頼感があります。透明感のある味わいで料理やお茶にも合うと評判です。 - アサヒ おいしい水 天然水
採水地の水質管理が徹底されており、シンプルな味わいと安定した品質でロングセラー。ボルヴィック(Volvic)愛飲者にも違和感が少ない軟水です。 - ななそら
美容や健康志向から注目されているのが、シリカを含むタイプ。ななそらなどの国産ブランドは、まろやかさとミネラルバランスで人気です。
いずれも「国産」「採水地の明示」「環境配慮」という共通点があります。
輸入水の終売をきっかけに、こうしたブランドへ乗り換える人が増えています。
終売と聞くと不安になるけれど、実は“進化”の裏返し
「お気に入りのミネラルウォーターが店頭から消えるのは悲しい」
――そう感じるのは当然です。でも、少し視点を変えてみると、終売は「市場の成熟」を意味する面もあります。
これまで“輸入ブランド=特別感”という価値がありました。
しかし今は、国産天然水の品質や採水地の物語が、十分に世界水準に追いついています。
加えて、ボトル軽量化・リサイクルPET・カーボンオフセットなど、環境面での進化も著しい。
つまり、消えるブランドがある一方で、新しい価値を持つ水が次々と生まれているのです。
終売は「時代遅れのブランドが退場する」というより、「次の時代の水文化が進化している」と言い換えられるかもしれません。
ミネラルウォーターを選ぶときのポイント
「じゃあ、これからどんな水を選べばいいの?」という疑問もありますよね。
いくつかのポイントを押さえておくと、失敗しにくくなります。
- 硬度(軟水 or 硬水)をチェック
日本人の味覚には軟水が合うと言われます。硬水はミネラルが多く、好みが分かれます。 - 採水地と企業の透明性
どこの水なのか、どう管理されているのかを確認。国内採水地は情報が開示されやすいです。 - 環境配慮・リサイクル対応
ラベルレスボトルや100%再生PETなど、環境意識の高い商品を選ぶのも一つの基準です。 - 価格と入手性
通販やスーパー、自販機など、普段の生活で続けやすいブランドを選びましょう。 - 備蓄性も考慮
災害時の備えとして、賞味期限の長いミネラルウォーターをストックしておくのも大切です。
こうした観点で選べば、「終売」の影響を受けにくい、安定したブランドを見つけられます。
これからの「水」は、もっとパーソナルに
ミネラルウォーターが生活必需品になった今、消費者が重視するのは“自分に合う水”です。
硬度、味わい、価格、環境配慮、ボトルデザイン…
同じ「水」でも、選び方次第で日常の満足度が大きく変わります。
そして、その選択肢が広がる一方で、時代の流れに合わなくなったブランドが終売していく。
それは悲しいことではなく、進化の自然な過程なのかもしれません。
ミネラルウォーターの終売から見える未来
「ミネラルウォーター 終売」というニュースは、一見ネガティブに聞こえます。
でも、その裏には“より良い水を選ぶ社会”への変化がある。
環境に優しく、持続可能で、安心して飲める水――。
そんな価値観が、次のスタンダードになろうとしています。
これからも新しいブランドや技術が登場し、私たちの「水の選び方」はさらに豊かになるはずです。
お気に入りが終売になっても、新しい出会いがきっと待っています。

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