ブランデー好きの方なら、一度は耳にしたことがあるかもしれません。「メタクサ グランドファイン」。ギリシャ生まれのこの美しい陶器ボトルのブランデーが、今「終売」として話題になっています。
なぜ、こんなに個性的でファンの多い一本が姿を消してしまったのか。その背景と、メタクサというブランドの魅力、そして再販や入手の可能性について、じっくり掘り下げていきましょう。
ギリシャ生まれのブランデー「メタクサ」とは?
まずはブランド自体の話から。
メタクサ(METAXA)は1888年、ギリシャ・アテネで誕生しました。創業者スピロス・メタクサが「飲む太陽」と呼ばれる独自のスピリッツを生み出したことから始まります。
メタクサの特徴は、単なるブランデーではなく「ブランデー×ワイン×ボタニカル」という三位一体の構成にあります。原料にはグレープスピリッツ(ブランデー原酒)に加え、エーゲ海の島サモスで収穫されるマスカットワイン、そして地中海由来のハーブやボタニカルがブレンドされているのです。
この製法により、他のブランデーとは異なる、どこか甘やかでフルーティーな香りが特徴的。
その味わいは「ギリシャの太陽と風土を閉じ込めたリキュールブランデー」とも称されます。
メタクサ グランドファインとは?上位モデルに込められた哲学
数あるメタクサシリーズの中でも、メタクサ グランドファイン(Grande Fine)は特別な存在。
ブランドの中でも上位ラインに位置づけられ、12年以上熟成された原酒を中心にブレンドされた高級モデルです。
まず目を引くのは、ギリシャの伝統工芸を思わせる白い陶器ボトル。
これは単なる容器ではなく、ギリシャの芸術と文化を象徴するデザインであり、コレクターズアイテムとしても人気があります。過去にはギリシャのアーティストによる限定ボトルデザイン「Cacao Rocks Edition」も登場し、その芸術性も高く評価されました。
味わいはというと、香りはドライフルーツ、蜂蜜、ナッツ、そして樽由来のオークの甘い香りが豊かに広がり、口に含むとシルキーで奥深いコクが感じられます。
後味には地中海のハーブがほんのりと残り、ゆっくりと余韻が続く。
まさに「熟成されたエレガンス」という言葉がふさわしい一本です。
なぜメタクサ グランドファインは終売になったのか?
さて、多くのファンが気になっているのがこの点です。
「メタクサ グランドファインはなぜ終売になってしまったのか?」
結論から言うと、ブランド側が公式に「生産終了」を発表したわけではありません。
しかし日本国内では、複数の販売店が「終売」「輸入終了」「在庫限り」と明記しており、実質的に市場から姿を消しつつあります。
考えられる理由をいくつか挙げてみましょう。
1. ブランド戦略の見直し
メタクサは現在、親会社レミー・コアントロー(Rémy Cointreau)のブランドポートフォリオの一部として展開されています。
世界的なスピリッツ市場では、プレミアム化や限定モデルへのシフトが進んでおり、販売数が少ないラインを整理する流れがあります。
メタクサ グランドファインも、限定流通品として扱いを縮小した可能性があります。
2. 原料・熟成在庫の制約
長期熟成原酒を使うモデルは、原料や熟成庫のキャパシティ、気候変動などの影響を受けやすいもの。
マスカットワインを原料にするメタクサでは、原料の供給量や熟成コストの上昇が続いており、一定数を確保するのが難しくなっているとも言われます。
3. 輸入ルートの変更・流通の停止
日本では「輸入元が変更・撤退した」ケースも少なくありません。
特に高級ラインは需要が限られるため、輸入代理店が継続を見送ることで“終売扱い”になることがあります。
4. 限定仕様への移行
一部では、メタクサ グランドファインが「Collector’s Edition」など特定シリーズとして再構成され、定常ラインから外れたと見る向きもあります。
つまり、完全な廃盤ではなく“限定再販モデルへの切り替え”という形です。
5. 市場トレンドの変化
世界的にウイスキー人気が高まる一方で、ブランデーの需要はやや落ち着き気味。
特に若い世代のアルコール離れも進んでおり、プレミアムブランデーは限られた層向けの嗜好品となっています。
このように、「公式な終売」ではなく「流通・供給上の停止」に近い状態が、現在の“メタクサ グランドファイン終売”の実態だと言えるでしょう。
メタクサの魅力が色あせない理由
たとえ市場から姿を消しても、メタクサの魅力は衰えません。
なぜなら、彼らが作るスピリッツには「ギリシャ文化の魂」が宿っているからです。
● 独自の製法
一般的なブランデーが“蒸留と熟成”を中心に構成されるのに対し、メタクサはそこに“ワインとボタニカル”を融合。
このブレンドが、華やかで複雑な香りを生み出します。
まるでブランデーとリキュールの良いとこ取りのような存在です。
● 味わいの深さ
甘すぎず、重すぎず。ドライフルーツや蜂蜜のような自然の甘みがあり、熟成感とフルーティーさが共存します。
飲み方も幅広く、ストレートでじっくり味わうのはもちろん、氷を浮かべると香りが開き、余韻がより立体的に感じられます。
● 芸術品のようなボトル
メタクサ グランドファインの陶器ボトルは、単なる容器ではなく“ギリシャの美術品”。
飾るだけでも存在感があり、贈り物やコレクションとしても喜ばれるデザインです。
その造形美は、飲む前から人の心を惹きつけます。
終売後に手に入れる方法はある?
「もう買えないの?」という声も多いですが、完全に入手不可能というわけではありません。
いくつかのルートを挙げてみましょう。
- 並行輸入・海外通販
海外では今も在庫があるショップが存在します。英語圏や欧州系サイトでは「Metaxa Grande Fine available」や「Collector’s Edition pre-order」といった表記を見かけることがあります。
ただし、個人輸入には法律上の制約や送料・関税のコストがかかるため注意が必要です。 - 国内の在庫・オークションサイト
酒販店の在庫や個人コレクションが出品されることがあります。
価格は年々上昇傾向にあり、かつ状態(保管環境やコルクの劣化)によって品質差が生じる点には留意が必要です。 - 代替モデルを探す
メタクサには「メタクサ 5スター」「メタクサ 7スター」「メタクサ 12スター」といった現行ラインもあります。
メタクサ グランドファインに比べて手に入りやすく、味の方向性も近いので、試す価値は十分あります。 - 限定コレクションの復刻に期待
メタクサはこれまでも限定デザインボトルや特別仕様を不定期に発売しており、今後もリバイバル的な再販が行われる可能性があります。
ギリシャブランデーの奥深さと文化的価値
メタクサは単なるお酒ではありません。
ギリシャの気候、風土、芸術、そして歴史のエッセンスが詰まった“文化的スピリッツ”です。
ギリシャの島サモスで育つマスカットワインは、強い日差しと海風が生み出す濃厚な甘みが特徴。
そこにオーク樽熟成原酒が重なり、さらにボタニカルで仕上げる。
その過程は、ギリシャの伝統工芸のように緻密で、美しさすら感じさせます。
メタクサ グランドファインは、その象徴的存在でした。
その終売は確かに惜しまれますが、同時に「希少な芸術品としての価値」を高めているとも言えます。
メタクサ グランドファイン終売まとめと今後の展望
ここまで見てきたように、メタクサ グランドファインの終売にはいくつかの背景が絡んでいます。
- 輸入・流通の停止
- 熟成原酒や原料確保の難しさ
- ブランド戦略上の限定化
- 消費トレンドの変化
しかし、ブランドとしてのメタクサは今も健在です。
現行ラインの「メタクサ 7スター」「メタクサ 12スター」も高評価で、ギリシャブランデーならではの個性を味わうことができます。
そして、世界的にクラフトスピリッツへの注目が高まる中、メタクサ グランドファインのような“文化的遺産を受け継ぐ一本”が再び登場する可能性も、決してゼロではありません。
終売のニュースに少し寂しさを覚えるかもしれません。
けれど、メタクサというブランドの魅力は、今も静かに息づいています。
もしどこかでメタクサ グランドファインを見かけたら、それはもう一期一会の出会い。
ギリシャの太陽のように、温かく、深く、香り高い時間を楽しんでみてください。

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