「いつもの中華炒め、味が決まらない…」
そんな違和感を感じて調べてみたら、「富士食品オイスターソースが終売していた」──そんな声がSNSでも続出しています。
長年、家庭の味を支えてきた名脇役だけに、そのニュースを聞いてショックを受けた人も多いのではないでしょうか。
この記事では、富士食品オイスターソースが終売となった背景、販売終了の理由、そして代わりに選ばれている代替商品までを分かりやすく解説していきます。
富士食品オイスターソースとは?
富士食品オイスターソース工業株式会社は、1950年代から続く老舗調味料メーカー。
「がらあじ(鶏ガラスープの素)」や「豆板醤」、「甜麺醤」などの中華調味料を手がけ、日本の中華家庭料理文化を支えてきたメーカーとして知られています。
中でも人気だったのが「富士食品オイスターソース」。
広東料理の味わいを再現するため、濃厚な牡蠣エキスと旨味を凝縮した一本で、プロの料理人にもファンが多かった商品です。
家庭用サイズのオイスターソース120gやオイスターソース240gタイプは、スーパーでも手軽に買える定番品でした。
そんな定番調味料が、ある日を境に店頭から姿を消してしまったのです。
富士食品オイスターソースが終売した時期
公式発表によると、富士食品オイスターソースは2019年4月17日付で「家庭用商品の販売終了」に関する案内を出しました。
そして同年9月末をもって、家庭用向け商品の販売を終了しています。
対象となったのは「オイスターソース120g」「オイスターソース240g」「横濱オイスターソース120g/横濱オイスターソース230g」「オイスターソース極」など。
これらはすべて家庭向けパッケージであり、スーパーなどの一般流通ルートでは販売を終えることとなりました。
この発表をもって、長年親しまれた“富士食品オイスターソース”ブランドの家庭用中華調味料は一斉に終売となった形です。
いまでは、業務用や大容量タイプのみが一部の通販サイトで流通している状態となっています。
終売の理由は「事業転換」だった
販売終了の背景として最も大きいのは、**富士食品オイスターソース**の事業転換です。
2019年9月をもって同社は「家庭用食品から撤退し、業務用専業に移行」することを明言しています。
つまり、家庭向けの小瓶調味料の生産や流通は終了し、ホテル・外食・給食向けなどの業務用商品に軸足を移したということです。
これは、単に“富士食品オイスターソースが売れなくなった”という単純な理由ではありません。
近年、家庭用調味料市場では競争が激化し、原材料や流通コストの上昇、棚確保の困難などが重なっています。
さらに、輸入ブランドや大手メーカー(キッコーマン、李錦記など)のシェア拡大も影響し、中小メーカーにとっては採算が取りにくい状況でした。
そのため、富士食品オイスターソースはより安定した需要がある「業務用市場」に経営資源を集中させるという判断を下したと考えられます。
終売で広がった消費者の戸惑い
富士食品オイスターソースの終売後、ネット上ではこんな声が見られました。
「いつも使っていた富士食品オイスターソースがスーパーから消えた」
「味のバランスが良くて、他のものでは代わりにならない」
「在庫を探してネットで買ったけど高かった…」
愛用者にとっては、長年使い慣れた調味料がなくなるのは痛手です。
中華炒めや野菜のあんかけ、チャーハンなどに欠かせなかったあの“まろやかな旨味”を、ほかで再現するのは簡単ではありません。
実際、終売発表以降は一時的に在庫がプレミア価格で取引されるなど、根強い人気を感じさせる現象もありました。
業務用では今も継続販売中?
ここで一つ朗報があります。
富士食品オイスターソースは「家庭用製品」を終了しましたが、**業務用の富士食品オイスターソース2200g**は現在も生産・流通している可能性があります。
たとえば、ネット通販の業務用食材サイトでは「富士食品オイスターソース2200g」「横濱オイスターソース230g業務用」などの大容量ボトルが販売されています。
これは外食チェーンやホテル厨房向けに提供されているもので、個人でも購入自体は可能です。
ただし、容量が大きく一般家庭では使い切れないこともあり、保管や衛生面には注意が必要です。
また、業務用商品は流通経路が異なるため、スーパーの棚には並ばない点にも注意しましょう。
富士食品オイスターソースの撤退が示す市場の変化
富士食品オイスターソースのケースは、単なる一企業の判断にとどまりません。
近年、調味料業界では中小メーカーが家庭用から撤退する例が相次いでいます。
理由は主に三つ。
- 市場の飽和と価格競争の激化
スーパーでは大手ブランドやPB(プライベートブランド)が棚を占め、価格競争が過熱しています。 - 原材料・物流コストの上昇
特に近年は牡蠣エキスなど輸入原料の高騰が進み、採算確保が難しくなりました。 - 業務用需要の安定性
一度取引が始まると長期契約になりやすく、大量生産・大量出荷で効率を高めやすい業務用市場のほうが経営的に有利。
こうした流れの中で、富士食品オイスターソースが“業務用専業メーカー”として舵を切ったのは、自然な経営判断だったと言えるでしょう。
代替商品としておすすめのオイスターソース
とはいえ、家庭の味を支えてきた富士食品オイスターソースがなくなってしまった今、どの製品を選べばいいのでしょうか。
ここでは、味の方向性や使い勝手の近い代替商品をいくつか紹介します。
李錦記 プレミアムオイスターソース
香港発の定番ブランド。世界的シェアを誇り、日本でも広く流通しています。
富士食品オイスターソースのものに比べると甘味がやや強めですが、牡蠣のコクがしっかり感じられ、炒め物・あんかけにも万能。
キッコーマン オイスターソース
日本の味覚に合わせたまろやかタイプ。
しょうゆの深みとオイスターの旨味のバランスが良く、和食との相性も抜群です。
ユウキ食品 オイスターソース
素材の旨味を生かした自然な仕上がりで、家庭用でも人気。
富士食品オイスターソースに近い風味を求める人から支持されています。
業務用 富士食品オイスターソース2200g
もし「どうしてもあの味が忘れられない」という人は、業務用サイズをネット通販で購入する手もあります。
ただし容量が多いため、家庭で使う場合は小分け保存をおすすめします。
終売による「味の継承」とこれから
長年慣れ親しんだ調味料がなくなるのは寂しいものです。
しかし、富士食品オイスターソースが築いた味の系譜は、今も多くのメーカーに引き継がれています。
中華料理の基本調味料としての“オイスターソース文化”は健在であり、各社が改良を重ねて新しい味を生み出しています。
もし今後、富士食品オイスターソースが業務用を通じて再び家庭用市場に戻ることがあれば、ファンにとっては嬉しいニュースになるでしょう。
一方で、こうした“終売の動き”は食品業界全体の変化の象徴でもあります。
消費者の嗜好が多様化し、メーカーはより効率的な市場に集中せざるを得なくなっている。
その中で、自分に合った調味料を探す“味の旅”もまた、楽しみの一つになっていくのかもしれません。
富士食品オイスターソース終売のまとめ
富士食品オイスターソースは、2019年9月をもって家庭用の販売を終了しました。
背景には、業務用市場への転換、コスト構造の見直し、流通変化など複合的な要因があります。
現在は業務用として一部で継続されていますが、一般的なスーパーで見かけることはなくなりました。
もし代替を探すなら、李錦記 プレミアムオイスターソースやキッコーマン オイスターソースなどが現実的な選択肢です。
「いつもの味」を守りたいなら、いろいろ試して自分の料理に合う一本を見つけてみるのも良いでしょう。
長く愛された富士食品オイスターソースの味は、多くの家庭の記憶の中にしっかりと残っています。
これからも、家庭の味を支える調味料たちの「終売」と「再発見」の物語は続いていきます。
そして、富士食品オイスターソースが教えてくれた“旨味の奥深さ”は、きっとこれからも多くの食卓に生き続けるでしょう。

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