コンビニやスーパーでよく見かけた「アサヒもぎたて」。果実をまるごと搾ったような濃い味わいと、9％というしっかりしたアルコール度数で、多くの缶チューハイファンに愛されていました。そんなもぎたてシリーズが、いつの間にか店頭から姿を消していることに気づいた人も多いのではないでしょうか。この記事では、「もぎたて終売の理由」と「再販の可能性」について、アサヒビールの動向や市場背景を踏まえて徹底的に探っていきます。
もぎたてとは？アサヒを支えた果実系ストロングチューハイ
「もぎたて」は、アサヒビールが2016年に発売した缶チューハイブランドです。当時、同社はチューハイ市場で苦戦しており、「氷結（キリン）」や「－196℃（サントリー）」などの強力なライバルに押されていました。そんな中で登場したのが、果実の“鮮度”を武器にした「もぎたて」シリーズです。
特徴は、果実を収穫してから24時間以内に搾汁した果汁を使うというこだわり。「フレッシュキープ製法」と呼ばれるアサヒ独自の技術で、搾りたてのような果汁感を長期間キープできる点が人気の秘密でした。
さらに、アルコール度数9％という“ストロング系”カテゴリーに属しながらも、飲みごたえと果実感のバランスが絶妙で、発売当初から大ヒット。多彩なフレーバー展開で、アサヒのRTD（Ready to Drink）部門を支える柱となりました。
いつから販売終了？終売のタイミングを整理
もぎたての終売が具体的に話題になったのは2021年末から2022年前半にかけてです。アサヒビールの公式サイト「販売終了商品一覧」では、もぎたてシリーズの一部商品が製造・出荷を終了していることが確認できます。
とくに「もぎたてSTRONG」シリーズの終売時期は、2022年3月前後が多く報告されています。「まるごと搾りぶどう」や「手摘み白桃」「手摘み青梅」などの人気フレーバーも、この時期に製造を終了しました。500ml缶のみ先行で販売終了した商品もあり、徐々にラインナップが縮小されていった様子が見て取れます。
店舗によっては2022年夏頃まで在庫販売が続いていたようですが、現在ではほとんどの流通在庫が消え、もぎたてシリーズは実質的に終売となっています。
もぎたてが終売した5つの理由
1. ストロング系市場の成長鈍化と企業戦略の転換
終売の最大の理由として挙げられるのが、“ストロング系チューハイ”市場の変化です。2017〜2020年頃までは、アルコール度数8〜9％のストロング缶が人気を博しましたが、次第に「酔いやすい」「健康志向に合わない」といった声が増え、市場成長が鈍化しました。
アサヒビールは2022年以降、「アルコール度数8％以上の新商品は発売しない」という方針を発表しています。これにより、もぎたてシリーズのような“高アル・果汁系”チューハイは、ブランド戦略上の整理対象になったと考えられます。
2. コロナ禍による製造・供給の制約
2020年以降の新型コロナウイルス流行では、アルコール原料の供給体制にも影響が出ました。アサヒビールは、医療・消毒用アルコールへの供出を優先したこともあり、一部の製造ラインを停止。これにより、採算性の低いフレーバーや限定商品が生産終了へと向かったという報道もあります。
特に果汁を大量に使用するもぎたてシリーズは、原材料・製造コストが高く、安定供給の難しさが浮き彫りになったとみられます。
3. 安売りからの脱却とブランド整理
缶チューハイ市場では、かつて「安くて酔える」が大きなセールスポイントでした。350ml缶が100円台前半で買える手軽さは、多くのストロング系商品の共通点です。
しかし、近年のアサヒは「価格より品質」を重視する方向へ舵を切りました。これまでの“安売り競争”から脱却し、ブランド価値を高める戦略を進めており、その流れの中でもぎたてが整理された可能性が高いです。
4. 商品数の多さとブランド飽和
もぎたては、期間限定・地域限定・季節限定など、多くのフレーバーを展開してきました。たとえば「宮崎産日向夏」「まるごと搾り四季柑」「高知産直七」など、地域果実を使ったバリエーションが豊富でしたが、結果としてブランド全体が複雑化。販売・在庫管理のコストも増大し、整理の対象となったと考えられます。
5. 消費者の“スマートドリンキング”志向
アサヒビールは近年、「スマートドリンキング（賢く飲む）」という方針を掲げています。これは、アルコール摂取量を自分に合った範囲に抑え、楽しく・健康的に飲むという考え方です。社会全体でも“適量志向”や“休肝日文化”が広まりつつあり、9％チューハイはこうした流れにそぐわなくなった側面もあります。
この価値観の変化は、もぎたてのような「高アルコール・強めの酔い心地」を売りにした商品にとって、大きな逆風になりました。
終売後の市場変化と「もぎたて」ファンの反応
もぎたてシリーズの終売は、SNSでも話題になりました。TwitterやInstagramでは、「もう買えないの？」「あの濃い味が好きだったのに」といった惜しむ声が相次ぎ、根強いファンの存在がうかがえます。
一方で、ストロング系市場全体は、以前ほど勢いがなくなってきています。現在は“レモンサワー”や“微アルチューハイ”など、よりライトで香りを重視したジャンルが人気を集めています。
もぎたてのポジションを引き継ぐように、アサヒは「贅沢搾り」「未来のレモンサワー」といった新ブランドを強化しており、よりフルーティーで飲みやすい方向へ舵を切っています。
再販の可能性はあるのか？限定復刻の期待
「また飲みたい」「復活してほしい」という声が多い中で、もぎたての再販はあり得るのでしょうか。結論から言えば、“完全復活”の可能性は低いですが、“限定復刻”という形で再登場する余地はあります。
まず、アサヒビールは明確に「高アルコール新商品を出さない」としているため、もぎたてのような9％設計の通年販売は戦略的に難しいと考えられます。
ただし、缶チューハイ業界では「復刻版」や「限定再販」がプロモーションとして活用されることが多く、もぎたてもその候補になる可能性があります。
もし再販があるとすれば、以下のような条件が考えられます。
- アルコール度数を下げた“低アル版もぎたて”として登場
- 限定フレーバー・地域果実などの特別仕様
- 夏季や周年記念など、短期間の限定販売
- 「果汁感」「鮮度」「贅沢感」を強調したリブランディング
アサヒが進めている「贅沢搾り」や「果実のチューハイ」シリーズと差別化しつつ、もぎたてブランドの原点である“果汁の鮮度”を活かした商品なら、一定の需要を見込めるでしょう。
代替品・後継ブランドのおすすめ
もぎたてロスの人にとって気になるのが、「代わりになるチューハイはあるのか？」という点。実際、いくつかのブランドが似たコンセプトを持っています。
- アサヒ 贅沢搾り：果汁含有量が高く、フルーティーさを前面に出したシリーズ。アルコール度数は4〜5％と低めで、ライトに楽しみたい人向け。
- キリン 氷結ストロング：ストロング系らしいキレとアルコール感を重視。もぎたての“飲みごたえ”を求める人におすすめ。
- サントリー －196℃ ストロングゼロ：果実感よりも“しっかり酔える”方向。もぎたての強さを懐かしむ人に合う。
これらを飲み比べてみると、もぎたての“果汁の濃さ＋高アルコール”という絶妙なバランスが、いかに独自だったかが分かります。
まとめ｜もぎたて終売の背景と、再販への静かな期待
「もぎたて終売」は、多くのファンにとってショックなニュースでした。しかし、その背景には市場構造の変化、企業の戦略転換、そして社会全体の飲酒意識の変化という大きな流れがあります。
アサヒビールが次に目指しているのは、「ただ酔う」ではなく「おいしく・心地よく楽しむ」チューハイの世界。もぎたてのDNAは、形を変えて現在の新ブランドに受け継がれていると言えるでしょう。
それでも、「あの味がもう一度飲みたい」と願う人の声が絶えないのも事実。もし再販が実現するなら、それは単なる復刻ではなく、時代に合った“進化版もぎたて”としての登場になるはずです。果実の鮮度と濃さ、そして“もぎたて”という名前の響きが、再び私たちの手元に戻ってくる日を静かに待ちたいと思います。
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