バーボン好きの間で長年親しまれてきた「オールドエズラ7年」。手頃な価格でありながら、熟成7年の深い味わいを楽しめる銘柄として人気でした。ところが近年、このボトルを店頭で見かけなくなったという声が急増しています。「まさか終売なのでは?」と気になっている人も多いのではないでしょうか。
今回は、オールドエズラ7年がなぜ姿を消したのか、その背景や現在の入手状況、そして後継モデルについて詳しく掘り下げていきます。
オールドエズラ7年とはどんなバーボン?
まずは、オールドエズラ7年というウイスキーの特徴を簡単におさらいしておきましょう。
このボトルはアメリカ・ケンタッキー州で生まれたストレート・バーボンで、製造元はルクスコ(Luxco)社。もともとはデイヴィッド・シャーマン・カンパニーとして知られ、長年にわたりヘヴンヒル蒸留所から原酒を調達していました。
マッシュビル(原料配合)は、コーン78%、ライ麦10%、モルト12%。50.5%のアルコール度数(101プルーフ)でボトリングされており、飲み応えがありながらも価格は手頃という点が愛好家に支持されてきました。
「7年熟成でこの価格帯は奇跡的」とまで言われたほど、コストパフォーマンスに優れた一本でした。しかし、そんな人気バーボンが2018年頃を境に突然市場から姿を消します。
オールドエズラ7年が終売になったのはなぜ?
熟成原酒の確保が難しくなった
最大の理由は、熟成7年という年数を維持できる原酒の確保が困難になったことです。
バーボンブームによってアメリカ国内外で需要が急増し、長期熟成原酒のストックが減少。これまでのように「7年熟成をリーズナブルに提供する」モデルが経済的に成り立たなくなったと見られます。
多くのレビューでも「低価格で7年物を出し続けるのは限界だった」との分析があり、製造停止の背景には原材料・熟成コストの上昇があったと考えられます。
ブランド再編と新蒸留所の稼働
2018年、ルクスコ社は自社の蒸留所「Lux Row Distillers」を本格稼働させました。これにより、従来の委託生産から自社蒸留へとシフト。その過程でブランド全体の再構築が行われ、オールドエズラ7年(101プルーフ)は生産終了となり、新しいボトルへリニューアルされます。
同年に登場したのが「オールドエズラ7年バレルストレングス(117プルーフ)」です。つまり、終売というより“進化”の一環だったと見ることもできます。
市場環境の変化
バーボン市場はここ10年で大きく様変わりしました。
「プレミアム志向」「高熟成・高プルーフへの需要」「クラフト蒸留所の台頭」などにより、従来の“手頃で熟成感のある定番バーボン”の立ち位置が縮小しています。
ルクスコ社としても、より高付加価値なバージョンでブランドイメージを引き上げる狙いがあったのでしょう。実際、ボトルデザインや価格帯も一新され、上位レンジへのポジショニングが明確になりました。
実際に終売となった時期と公式の動き
ルクスコ社のコメントや複数の海外レビューによると、オールドエズラ7年101プルーフは2018年の夏頃に製造が終了。その後、既存在庫が市場に出回り、秋以降に完全に姿を消したとされています。
メーカー関係者も「旧ボトルは販売を終了し、今後は新しいボトルとバレルストレングス版を展開する」と発言しています。つまり、終売は公式に認められたものです。
当時の販売価格は20ドル前後。7年熟成・101プルーフでこの価格は破格でした。消費者にとっては惜しまれる終売ですが、メーカーにとってはやむを得ない判断だったといえます。
現在の入手可能性と在庫状況
旧ボトル(101プルーフ)の入手はほぼ困難
旧仕様のオールドエズラ7年は、すでに生産が終了してから数年以上が経過しています。そのため、一般のリカーショップやECサイトではまず見かけません。
一部のコレクター市場、オークションサイト、ヴィンテージウイスキー専門店などで出品されることはありますが、価格は発売当時の倍以上になることが多いようです。状態や保存環境にも注意が必要です。
後継モデル(117プルーフ)は限定的に流通
後継として登場した「オールドエズラ7年バレルストレングス(117プルーフ)」は、現在も限定的に流通しています。
アメリカ国内では定期的に出荷されていますが、日本では輸入量が限られており、専門店やオンラインショップで断続的に見かける程度。価格も1万円前後〜と、旧モデルに比べてやや高価になっています。
とはいえ、香り・ボディともにより濃厚で、バーボン愛好家からは高い評価を受けています。
見つけたら“即買い推奨”
旧ボトルを見かける機会は非常に少ないため、「在庫限り」「デッドストック」「海外免税店の残り」などの表記を見たら、ほぼ最後のチャンスと考えてよいでしょう。
一方、新ボトルの117プルーフ版も常に安定供給されているわけではないため、購入希望者は見つけ次第確保するのがおすすめです。
終売の背景から見えるバーボン業界の今
オールドエズラ7年の終売は、単なる一商品の廃止にとどまらず、バーボン業界の潮流を象徴しています。
ここ10年で世界的なバーボン需要が急拡大し、原酒不足が深刻化。長期熟成原酒を安価に供給するモデルが成立しにくくなりました。
同時に、メーカー各社は自社蒸留やブランド再編により、より高品質・高価格帯へのシフトを進めています。
オールドエズラ7年もその流れの中で、新しい方向性を打ち出した結果といえるでしょう。
代替・後継として注目のボトル
オールドエズラ7年の代替として、次のボトルが注目されています。
- オールドエズラ7年バレルストレングス(117プルーフ)
旧モデルの精神を受け継ぎながら、より濃厚でパンチのある仕上がり。香りの深さと余韻の長さが特徴。 - エズラ・ブルックス99プルーフ
同ブランド内のスタンダードモデル。7年表記はないものの、スムーズで飲みやすいライ系バーボン。 - デヴィッド・ニコルソン・リザーブ
同じルクスコ社の高ライ麦系バーボン。バニラとスパイスのバランスが良く、価格も比較的安定しています。
これらは「オールドエズラ7年の味わいが恋しい」という人にとって、現行ラインの中で比較的近い選択肢となるでしょう。
オールドエズラ7年 終売まとめ:いま手に入れるなら?
・オールドエズラ7年(101プルーフ)は2018年頃に正式終売
・理由は原酒不足・価格構造の変化・ブランド再編
・後継モデルとして「オールドエズラ7年バレルストレングス」が登場
・旧ボトルの流通はほぼ終了、入手はオークション・海外限定
・現行の117プルーフ版は数量限定で継続販売中
このように、オールドエズラ7年は単なる“販売終了”ではなく、ブランドの転換期を象徴するボトルでした。
もし旧ボトルを見かけたなら、それはもはや“幻”といえる存在。コレクターやバーボン愛好家にとって、今後さらに価値が高まっていくことは間違いありません。
終売という事実は寂しいものの、その系譜は「オールドエズラ7年バレルストレングス」へと確かに受け継がれています。

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